祭りのもっている特質はどのようなところにあるのかを今回の研究でいろいろ考えていますが、 それを簡単に整理しますと次の9項目が挙げられました。
(1)「祭りは伝統的な特質をもつものであり、 その地域に古くから伝えられているものか、 あるいは他地域の伝統的な祭りが模倣ないし移植された催しである。 模倣ないし移植される場合、 あるいは再活性化する場合、 それをリードする特定の人間の資質が重要な役割を果たしていることが多い」。
これはまちづくりの構造と同じであるといえます。
(2)「祭りは伝統的な『芸能』もしくは伝統的な『しつらえ』を有するパフォーマンスないしパレードが伴う」。
(3)「この『芸能』および『しつらえ』には型が存在し、 (それ故に模倣・移植が可能となるともいえるわけですが)、 それを修得するために一定の稽古・習熟が必要である」。
例えば先ほどの阿波踊りやよさこいも、 ある種の芸を持っており、 その芸がある故に練習しなければならないのです。
(4)「祭りにはそれが取り行なわれる一定の地域的な広がりがある。 ある神社を核とした氏子分布圏などがそれに該当する。 あるいは神様のいない祭りであっても、 町内といった圏域が存在する。 広い圏域から人々によって取り行なわれる祭りも想定されるが、 少なくともそれが行なわれる特定の場、 いわば磁力の中心が存在している」。
阿波踊り・よさこい・ねぶたには、 神様がいませんので、 民俗学的にいうと祭りとは言えないかもしれませんが、 そこは詳しく論じないこととします。
(5)「従って、 祭りに参加する人びとには一定の制限が加わることになる。 この制限には町内会への自動加入システム(今は変わりつつありますが)のような傾向が想定されるが、 この制限が強い祭りもあれば、 弱い祭りもある」。
私の故郷のねぷた祭りは制限が全くなく、 誰でも入れます。
(6)「祭りへの参加は個人であるというよりは、 家ないし世帯での参加の色彩が強いと想定される。 これも町内会と同じ性質である」。
祭りは家の中でも継承されています。 近代社会ではこの家の中での継承はとても嫌ってきましたが、 今日はそれがメインの話ではないので詳しくは論じません。 そのようなある種の紐帯を通じて継承される特徴があるということが指摘できます。
(7)「従って祭りに参加する人びとは広い年齢層にわたる」。
(8)「祭りに参加する人びとにはそれぞれに役割があり、 それは祭り当日のみならず、 祭りの前後に続く。 また、 先の『芸能』および『しつらえ』を会得するためには、 日常的な稽古も必要になる」。
(9)「現代社会における人びとの心をとらえる特質をもった祭りと、 そうした性質が乏しい祭りがあることが想定される」。
そのような性質が、 何故違うのかということにも関心があります。
祭りのもっている特質
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