大阪駅北地区国際コンペを考える
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G-EST-OSAKA 森に浮かぶ銀河の森

鳳コンサルタント 佐々木葉二

 

はじめに

 鳳コンサルタントの佐々木です。

 鳴海先生に頼まれて発表することになりましたが、 落ちたコンペで発表するのは初めてです。

 我々は「G-EST-OSAKA-森に浮かぶ銀河の森」というテーマで、 大阪ガスさんをはじめ幾つのかの企業さんとグループを組み、 共に考えていきました。

 「G-EST-OSAKA」のGはGreen、 Gaia、 Galaxy & Gate、 Globalなど様々な意味があり、 estはそれらが存在するという意味で、 そのような大阪をつくるための提案をしました。


根幹となるコンセプト

 これからの大阪は「誘惑の都」であり、 「追憶のまち」であるべきだろうと考えました。 「誘惑の都」は邂逅が人を新たな試みに誘うまち、 「追憶のまち」は内省的な空間を持つ都市と考えています。

 これからの21世紀のまちは、 誘惑や追憶といった近代都市の忘れていたもの、 つまり、 人と人、 人と技、 人とモノ、 人と自然、 人と時間という関係を再構築していく必要があると考えています。

 まず、 大阪は国際競争力がほとんどないので、 それをプロデュースするような地区にするべきであると考えました。 しかし、 融合領域は強く、 スキーム開発力があるということで徹底的にやるべきだろうと考えました。

 そのために、 バイオから環境・生活文化製品まで幅広い産業技術、 高度な研究機関や個性ある大学、 多岐にわたる伝統的職能や材料、 ネットワーク力の強い中小企業やそのビジネススキームの創意工夫などの全ての産業集積をできる限りこの地区でやっていき、 それをNPOなどの新たな社会組織で支えようという計画になっています。

 大阪や関西のためではなく、 アジア全体の拠点をつくりたいと考え、 「G-EST-OSAKA」は、 大阪と関西とアジアという3地区をつなぎ、 最終的には逞しいアジアの小さな世界企業群を売り出すための器にしたいと考えています。


全体構想

 「自然環境の創出」「知的交流・教育」「新産業の創出」「製造技術の創出」「観光振興」「住まい」「安心・健康」という七つの基本機能を七つの森として実現していこうと考えました。

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七つの森によるゾーニング
 銀河の森を中心軸とし、 住まいの森、 健康の森、 知の森、 匠の森、 誘いの森、 創業の森を各地区に設定しています。

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全体構想計画図
 全体構想計画図です。

 中津から淀川に向かっての新しい緑の軸を展開します。 難しいと思いますが、 最終的に下層部は水でつなぎ、 緑の軸を囲うような水路軸をつくるようになっています。 水路軸の両側には高層群が建っています。 駅前を出ると水面があり、 その地下に交通網を入れていくという形態です。

 このように都市の森をつくり、 淀川左岸と中ノ島をつなぐ契機にしたいと考えました。

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全体イメージパース
 全体イメージパースです。 立体緑化を考えており、 大きな構造を立体的に重ね合わせています。

 事業的にどう整理するかはこれからのテーマですが、 高層ビルの林立する谷間をつくらないために、 周辺にできる限り高層のビルを建てないようにしています。 海外からの研究者用の住宅として一番奥に高層ビルをつくっています。

 駅を出ると水面があり、 人工地盤の道を通って、 立体緑地の銀河の森へ入って行くことができます。


詳細計画

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銀河の森の断面構成図
 銀河の森の断面構成図です。

 「グランドレベル」「緑の層」「銀河の森レベル」の3層で構成されています。

 「グランドレベル」には南北軸の40m道路が通っており、 両脇に向かい合うように様々な商業施設が入っており、 『水の都大阪』をもう一度取り戻すような空間を考えています。

 「緑の層」は、 軒下施設の屋上に緑を配置し、 断面的に分節を図り、 風と光の通り道を確保するための空間となっています。 「銀河の森レベル」は最も高く、 それらの上に大きくオーバーブリッジを架けたものです。

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駅前広場の動線ダイヤグラム
 駅前広場の動線ダイヤグラムです。

 駅前広場も3層構造で、 地下1階レベルにバスロータリーをつくっています。 グランドレベルでは既存の交通網が走っており、 JR大阪駅中央コンコースへ駅前広場を介してアプローチできる計画になっています。 銀河の森レベルではJR大阪駅の南側ブロックと連結するサークルウォークを計画しています。

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JR大阪駅と駅前広場のつながり
 JR大阪駅と駅前広場の断面図です。

 プラットホームは既存のもので、 その上はサッカーグランドにしようと考えています。 現在の地下コンコースはそのまま広場へ抜けることができます。 緑の屋外劇場の地下部分の天井は水の天蓋をつくるガラスの光床とし、 太陽光と水の波紋を地下に落とし込みます。

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銀河の森−四季の移ろい
 また夜、 遠くから見ると銀河のように森から光が漏れ、 大阪のシンボルになるまちをつくろうと考えました。

 樹木については春夏秋冬で変容し、 大阪の忘れていた自然観を銀河の森でつくっていけないかとも考えました。

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銀河の森の下・アートプロムナード
 銀河の森のデッキ下のアートプロムナードのイメージです。

 銀河の森レベルを高く配置し、 圧迫感のないストリートにしています。

 デッキ上は駅から中津まで距離が長いため、 ソーラーバスのような新しい交通網を考えています。

 駅前広場には銀杏プロムナードがあり、 高層建築が見えないくらいの大きさの、 季節感のある森の中の広場をつくりたいと考えています。

 またミナミにもごちゃごちゃしたところが多いように、 大阪にはプロムナードをゆっくり楽しめる地区がないと思われるため、 キャナル沿いの商店街と銀河の森との間には、 できるだけ広いプロムナードをつくり、 ゆったりとしたキタの新しい街区をつくりたいと思いました。

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誘いの森・緑の野外劇場
 地下街から駅前に出ると、 大きな芝生階段があり、 銀河の森へ上がっていくことができます。


エコ・コミュニティ〜エネルギー・環境への取り組み方〜

 エネルギーインフラは、 地区内で一括受電することによって、 できる限りエネルギーコストを削減し、 大阪ガスの新しいシステムを利用して、 ゴミ処理を含めたネットワーク型のコジェネレーションをつくることを考えています。

 一箇所に拠点をつくることによって大口料金適用で電気代が低減でき、 また、 共同受電するために受電コストも低減され、 都市経営にプラスになるという提案です。


段階開発および道路計画

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段階開発および道路計画(二期開発)
 「2003年度末に用地売却が決定されている区域で先行して開発が可能となることを前提として提案する」というコンペの計画条件がありましたので、 先行開発の計画案も示していますが、 我々はできるだけ、 全体的に考えていきたいと思いました。

 JR大阪駅南側から176号線への通過交通を計画地西側の都市計画道路で処理することにより、 駅前の梅田九条線を広場化しようと考えています。

 茶屋町付近が未開発であるため、 大阪駅北地区を介して東西をつなぐ、 つまり茶屋町となにわ筋をつなぐような道路つくる必要があると考えました。

 なにわ新線と貨物線がつながっている部分に地下交通広場をつくっています。


事業計画の考え方

 事業計画としては、 区画整理事業などを施行するなど、 各地区ごとに様々な形で進んでいくと思いますが、 公共事業ゾーンと民間事業ゾーンに分け、 水面や森などはできるだけ民間事業でなんとかしたいと考えています。

 公的な事業だけではこのようなものは絶対出来ないので、 公民連携ゾーンとして紫色のゾーンを設定しています。 ここでは、 例えば公共が建設設備費を民間に支援するなどの運営方針をつくり、 民間と一体で開発を進めるための区分の作り方を考えました。


関西まちづくり公益信託

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まちづくり運営のスキーム
 「関西まちづくり公益信託」というものを提案しています。 これは、 企業や個人から信託財産を募り、 「G-EST-OSAKA」の緑地維持や関西の産業支援のための財源をもつ公益信託をつくるというものです。 シティマネジメントやグリーンステージ事業のNPO法人、 メモリアルウッズ事業の財団法人の三つの法人をつくり、 それらに対する財政支援をします。 そこでのイベントの収益は全て繰入れようと考えています。

 もう一つは、 大阪がこれからきっちりやっていく必要があるNPO法人による産業振興サポート事業で、 それを財政支援によりサポートする。 また、 関西観光産業支援組合をつくり、 土産物の開発や物販のような、 企業や自治体の関西観光振興に関する事業を支援する。 購入者は組合員になり、 収益は繰入し開発支援に充当する。 組合員は、 もちろん関西の企業や有志です。

 関西の復興をするためには単なるボランティアではなく、 もっと大阪的な復興のスタイルが必要だろうと思います。 大阪には旦那芸というものがありますが、 旦那芸ができるような復興事業をつくっていったらどうかと考えています。 この公益信託はそのためのものであり、 その公益信託により、 いくら大きな事業であっても十分にやっていけると考えています。

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