21世紀 都市デザインの課題 |
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堀口 浩司(アルパック)
全国的に共通する傾向 日本全国に共通する傾向として、郊外に大型ショッピングセンターの開業(大手2社+外資)と共に、1万u以下の中規模郊外店が陶太され、併せて中心市街地の商店街も衰退しています。また東京や大阪などの大都市では都市再開発の長期的な案件も徐々に実現化しつつあります。 私たちの住む、大阪周辺の事例を中心に新しい全国的状況と課題にふれて行きます。 1.郊外の商業開発 商業施設は流行のあるものですから、デフレの時代には土地を買っていると事業の採算があいません。土地を 20 〜 30 年ぐらいの定期借地にして、建物にあまりお金をかけず、短期間で資金回収をし、調子が悪くなったら撤退しやすいものを志向しています。したがって都市デザインの面では貧弱なものが多いです。今日紹介するのはその中では都市デザインの面で狙いのしっかりしたもの、デザインの優れたものを例として選んでいます 。 2.大阪都心部の動向(大規模な再開発) 日本は長い不況からまだ脱していません。駅前から少し離れた立地や駅と駅の間など、これまでの盛り場からちょっとはずれた場所の再開発が少しずつ進んでいます。バブル景気が終わって、立地条件の割に地価の高い地区にはいわゆる不良債権が山積し再開発の障害となっていますが、少しずつ状況が好転しています。
最近オープンした再開発事例からの傾向を紹介します。最近オープンした大阪のなんばパークスと東京の六本木再開発を例に共通した傾向を見てみましょう。 都心部だけに徒歩によるアクセスが中心ですが、これまで既存の商業集積からは少しはずれた場所にも回遊性が出てきています。週末だけでなく、平日にも集客する , 高層のオフィスビルやホテルにより容積を使い、足元に中低層の施設が入っています。
特徴的なのは、共にエコロジカルな要素を景観要素として取り入れています。六本木の再開発ではモダンな建物の屋上に観賞用の小さな水田がありました。一方の難波パークスでは最近はやりのハーブガーデンがあります。ランドスケープは一方は佐々木さんで、後者はジョンジャディーですから、それぞれの狙いが明かです。 3. デザイナーズブランド化する空間 両方とも商業空間のデザインをジョン・ジャーディが担当しています。これも流行りの空間だと思います。アメリカの西海岸でヒットした商業施設のコンセプトが引き継がれています。ちょっと食傷気味ですが、まぁ確実に売れる空間でしょうか。ちなみに博多、北九州、六本木、難波と共通する特徴は、 以下の通りです
ところでこれは昨日、テグと慶州でみた風景です。一つは薬令市の小公園で、もう一つは鴨雁池です。ハーブガーデンと曲線的で平積みの石垣は良く似ていると思います。
4.中心市街地の再生 ここから大阪の都心部を紹介します。まとまった商業開発ではありませんが、中心市街地で散発的に魅力ある空間づくりが見られます。韓国でも参考になるかと思います。 レトロな建築物の活用 コンバージョンといって、古い建物を再利用して他の用途で活用するのが「格好いい」と受け止められています。一方、農村部では古民家に人気があり、雑誌などで特集が組まれたりしています。都市と農村の両方で、古くても質の高い建物を利用して、観光要素として再利用しています。 テーマパーク的再開発 既存の市街地でもある広がりを共通するデザインで 再開発したり、改造時のルールによって景観的に協調し、地域を テーマタウン化する動きがあちこちに見られます。 大阪の法善寺横町という大阪の情緒を感じさせる地区があります。ここは火災により一帯が焼失しましたが、集団的に地域のイメージを調整しながら短期間に建て替えました。 新聞等で取り上げられ、ローカルだが全国的にも有名になりました。建て替えにより前より綺麗になって、全国から観光客も増加しました。
韓国では、過去の戦争やセマウル運動などで、古い情緒を感じさせる地区がなくなっていったと聞いています。なくなってしまった地域固有の風景を再生する、こういった事例が参考になると思います。
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