21世紀 都市デザインの課題


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韓国◇都市計画◇雑感
 
難波 健/兵庫県


ヤンドンの動態保存

大邱の都市型戸建住宅

林立する高層住宅群
  シンポジウム終了後、「整開保をやっているのですか」と話しかけられた。日本でも、整開保(都市計画法第6条2項 整備開発及び保全の方針)は知る人ぞ知る専門用語である。聞けば韓国でも市町都市計画マスタープランを策定されているということであった。また、2004年1月になって韓国からの行政を中心とした視察団の対応をする機会があった。地区計画の仕組みと現場を観たいという一団と、斜面地開発の話を聞きたいという別の団体に対応した。質問は代表者だけといった日本の視察団にありがちな雰囲気と違って、わからないことをどんどん聞いてくる、そのため、予定した時間では足りない活発な質疑が繰り広げられた。
  韓国では計画が力を持っているという印象を受けた。現在の日本では、都市再生にみるように、事業優先の計画となっている感があるが、韓国では計画が事業展開の大きな位置を占めているようである。
  我々が今回の韓国訪問で見学した中で、3つの計画を考えてみよう。一つは慶州郊外、ヤンドンの動態保存計画、ここは日本の古い田舎を彷彿とさせる集落が、住宅として機能させながら保存が行われている。二つ目は、大邱のテレビ塔から見下ろした区画整理が行われたと思われる地区の都市型の戸建て住宅地。そして、3つめは林立する高層住宅。いずれも計画的な保全と開発とみたが、この三態の住宅が夫々、計画的な価値を発揮するという評価を受けるかどうかが計画が力を持ち続けるための重要なポイントである。計画が破綻すると、計画は力を失ってしまう。日本では、そういった状態を経験しつつあるように思える。
  整然とした都市づくりの計画、あるいは日本がなくしてしまったバナキュラなものを残す計画など、時と所にあった計画が事業を先導していく状況を大切にしていただきたい。時代劇の映画が撮影できるまちが残っているような計画も捨てないでもらいたい。
  日本では、東京への一極集中はいずれ東京離れを起こすことは明らかだと思う。ソウルや釜山への人口集中は、東京の比ではないようだが、韓国で残されるべきものが残っている都市が生き続けていることを期待したい。


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