農村環境をいかに把握するかについてですが、 関西では惣村を母体に塊村集落として集落家屋が固まった形になっていることが多い。 特に丹波や滋賀県では、 長屋門型ではなく、 門塀のないオープンな形で家屋が立地し、 集落全体がひとつの意志を持って土地利用構成をしているような秩序がある。 こう言った集団的な土地利用秩序を把握すること、 すなわち、 どんな思いでその土地を開拓して集落構成をしていったかを理解すると、 地域が見えてくるはず。
集団の意志を構成している土地利用パターンがあることが、 中世来から構成されてきた関西の集落の特徴だと私は考えています。 したがって関西では、 まず農村の現況は、 集約的な土地利用(集団的な意思)を捉えることが大事で、 自然の地形を生かしながら、 なぜこんな土地利用になっているのか、 なぜここに家を建てたのか、 それが解るまで現地に立って考える発見的方法等によって、 じっくりと現地で自身の五感を通して風景を捉えることが重要です。
ただその時注意しなければいけないのは、 焼けた後の再建だとか江戸〜明治以降に再建された神社等は話が別になります。 昔からあるところでは、 鎮守の立地や家の立地を土地の起伏を見極めながら見ていただくと、 どんな思いで土地利用されたかが分かると思います。 それが息づいているのが丹波の都市計画白地地域なんです。
何気なく建っていて美しいのではなく、 集団的な土地利用の秩序がある結果美しい風景は形成されていることを踏まえて、 地域を捉えないと丹波のような都市計画白地地域である農村部の環境は見えてこないと思います。 市街地と同様にすぐに「ここは空き地だから何か建てよう」とすると、 大変誤ったやり方になる可能性が高い。 出来るだけ農村の集約的土地利用や住民の集落構成の意思や思いを理解した上で、 その地域にあった新しい都市計画の手法を応用していくのが良いと思います。
6まとめ
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