江川:
今日、 朝のテレビで景観法についての番組が流れていました。 その中で東大の西村幸夫先生が長野県の小布施と埼玉の川越の話をされていました。 「美しい景観は国民の財産であり、 国民として守るべきもので、 景観法は国が初めて景観をそのようなものだと位置づけたのだ」とおっしゃっていました。
私たち、 都市環境デザイン会議は、 従来の土木や建築など縦割り的な領域を越えて、 活動領域を横断し、 総体としての環境デザインを考えていこうとする団体です。 いろんな専門家だけでなく、 いろんなメーカーの方もメンバーとして参加しており、 専門家とメーカーの協働が個別プロジェクトでは成果が上げています。
しかし、 そもそもこの会議自体が、 いろんな枠を越えて自由に討議する場として始まったことを思うと、 発足して10年を越えたいま、 全体としてもう少し広範に影響力をもたらすような協働の仕方があってもいいと思うのです。
つまり、 世の中の景観の大部分を作っているのは各メーカーの方々なんですから、 もっと基本的な所で専門家との活動協力体制を作り上げていくべきじゃないかと思います。 それは別に新しいものを作り出すことだけじゃなくて、 再生やリノベーションなども含めた状況でも必要な事だと思います。
しかし実際には、 非常に限られた中でしか影響力を発揮していないのではないか。 もっと底辺から支えていくことをJUDIとしても考えて行くべきではないかという議論がいろんな所から起こっています。
本部でもそうした議論があるのですが、 今のところは議論だけで、 なかなか実際の活動は行われていません。 ですから、 今日はみなさんのご意見をいただきながら、 これからのJUDIの活動がどうあったらいいかを考えるワークショップの場にさせていただきたいと思います。 それが今回の趣旨でございます。
現在、 日本全体の美しい景観づくりを考えたときに、 実際には、 いくら優秀なデザイナーや行政マンがいたとしても、 全体としてはかなり問題のある景観ができてしまうわけです。 経済や社会の方向性がもう少し変わっていかないと、 良質な景観は生まれてこないだろうというのが現状です。
ですから、 景観づくりの現場で、 いろんな問題があると思います。 メーカーさんはメーカーさんなりの問題を抱えているだろうし、 メーカーに属しているデザイナーさんもそうだろうと思います。 そして実は我々コンサルタントだって、 いろんなしがらみの中で問題を抱えているところが多々あります。 ですから、 そういった個々の問題を全体の共通認識の中で考えていくことができないか。 それが今日のテーマだと思っています。
なぜメーカーとの協働の視点が必要か
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