美しい(良質な)景観をつくる方法
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メーカー側の意見

 

江川

 最初にメーカーの方の意見を紹介していきます。


設計通りにつくられない

和泉龍久(株式会社マツオコーポレーション)

 設計をして図面に仕様を書くのですが、 決まったはずのものが現実化する時に全く別のものになってしまうことが多く、 これをどうすれば改善できるのでしょうかという意見です。

 建築ではあまり耳にしない話ですが、 土木では頻繁に行なわれているようです。

 JUDIとしては、 このようなことが起こらない社会環境をいかに作っていくかを考える必要があると思います。


相談通りにつくられない

沖三郎(神戸ペイント株式会社)

 同様の意見で、 メーカーと発注者が相談して決定したものが、 現場レベルで変えられてしまう状況をどうしたら改善できるかという意見です。

 JUDIとしては誰に対してどのように訴えかけていくべきかを考えていく必要があると思います。 ゼネコンも発注者と協議をしているわけですから、 発注者側にも働きかけていく必要があると思います。


前例がないものは採用されにくい

斉尚樹(株式会社因幡電機製作所)

 「実際にどこかで使ったことがあるか」「その時に問題はなかったか」と聞かれることが多く、 行政担当者は前例のないものを選択しにくいという状況があります。

 新しいものを採用していく時に、 JUDIが他の評価機関と連絡を取りながら、 物理的な問題や耐久性などの性能を評価・保証していくシステムをつくって欲しい、 また、 景観性を後押しするような活動をして欲しいという意見です。


行政関係者の意識が低い

工藤(ヨシモトポール)

 行政担当者の景観に対する意識が低く、 景観が大切だといった時に、 皆が同じ土俵に立っていないのが現状です。 行政担当者を教育していくのは誰なのか、 JUDIが何かできないのかという意見です。


コストを理由に安易に変わってしまう

上田正行(株式会社コトブキ)

 最初と同様の意見で、 決められたものが変わるケースが多く、 コスト面が理由とされることが多いのですが、 本当にコスト面で変えられるのか、 それともコストを理由にして変えられているだけなのではないかという意見です。

 また、 土木の場合、 デザイナーや設計者が最後まで関われないシステムが問題なのではないかと指摘されています。


推奨品が採用されない

木村修(日本興業株式会社)

 マニュアルだとか推奨だとか色々言われるが、 現実は必ずしもその通りにはなっておらず、 そのようなことに対してJUDIがどうにかして欲しいという意見です。


全体的に考える視点が必要

米澤利樹(株式会社マツオコーポレーション)

 一つ目は同様の意見で、 条例などで色々なことを言っているが、 現実はそうなっておらず、 このことに対してJUDIに支援して欲しいという意見です。

 もう一つは、 例えば、 バリアフリーの点字ブロックのように、 片方を立てることは分かるが、 それが全体としての美しいまちづくりにつながっているとは思えない。 JUDIの方はどう思っているのかという意見です。

 我々はどうしても自分たちの作品だけが良ければ良い、 自分たちが関わったものだけが良ければ良いと思ってしまう、 または思わざるを得ないという環境もあるのかもしれません。 しかし、 もっと全体の問題として捉えていく視点が必要ではないかということです。


JUDIがもっと支援すべき

小園隆嗣(松下電工株式会社 照明デザイン)

 JUDIのような横断的な組織こそが、 総合的な景観を考え、 支援していく必要があるのではないかという意見です。

 ここでいう支援には、 現実の舞台の中でJUDIが横断的に支援していくという紐帯の役割を担う、 また、 社会的な全体像として総合的な景観の重要性を訴え、 実際の事例を紹介していくなどの様々なシチュエーションがあると思います。


製品開発でJUDIに期待

田中稔(松下電工株式会社 照明デザイン)

 JUDIがうまく関われば、 メーカーや企業の各得意分野・各専門分野を超えた製品開発が可能になるのではないかという意見です。


JUDIが無責任で良いのか

斉藤治夫(株式会社因幡電機製作所)

 最初と同様の意見ですが、 決められたものが変わることが多い状況に対して、 JUDIは無責任で良いのかという意見です。


管理側とコンサルタントの対立は困る

山室(株式会社コトブキ)

 管理側とコンサルタント側のそれぞれの主張間の溝が埋まらないまま進んでいるため、 メーカーは右往左往してしまうという意見です。


デザイナーがデザインする余地が必要

菰田(太平洋セメント中央研究所)

 一つ目は、 あまりデザインしないで全体の調和を考えた方が良いのではないかという意見があるが、 その場合、 メーカーは何をしたら良いのか分からない。 しかし、 その一つの解として、 デザイナーがデザインする余地のある、 その上で全体の環境を考えた製品を開発すべきではないかという意見です。

 もう一つは、 トータルとしての美しく良質な景観がビジネスになるようなシステム、 手法、 技術をもう少し開発していかなければならないのではないかという意見です。

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