山崎正史(立命館大学教授・JUDI関西セミナー副委員長):
それでは2005年第2回のJUDIセミナーを始めさせていただきます。
今年は久しぶりに景観をテーマにやらせていただきます。 今日は皆さんよくご存じの鳴海先生に登場していただいて「阪神淡路大震災10年 景観復興」をテーマにお話頂きたいと思います。 鳴海先生の事はご紹介するまでもないと思いますが、 大阪大学の教授であり、 セミナー委員長を長い間務めていただいております。 また2004年度からは都市計画学会会長も務められており、 日本の都市計画界で大活躍されております。 早速お願いします。
鳴海邦碩:
それでは今から表題にありますように「阪神淡路大震災後10年 景観復興」ということで、 時間がかかるかも知れませんが、 お話ししていきたいと思います。
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神戸市長田区房王寺周辺地区建物被災度マップ
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都市計画学会および建築学会では、 震災が起こってすぐに緊急調査グループを編成して現地調査に入り、 建物被災度マップという図面を被災地全域に渡って作成しました。 図は赤が全壊、 オレンジが半壊、 黄色が被害あり、 緑が目視した限りでは外観上の被害は見受けられないというものです。
これはその後、 景観の変化を見るためにいくつかピックアップした地区のうちの一つで、 長田の山手にある房王寺地区です。 この他にもいくつかのポイントにおいて震災後の景観変化を調べました。
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神戸市長田区被災状況
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これは震災当時、 被災実態調査のときに撮った写真です。 ご覧のとおりかなり大変な状況の中、 学生や教官、 建築・都市関係の民間事務所の方々に参加していただいて被害状況の調査をしていきまいした。 その数は延べ1000人にものぼり、 東北、 九州からの参加者もいました。
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芦屋市三条地区被災状況写真(震災1週間後)
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これは芦屋のJRを中心とした地区で、 三条公園があります。 現在は区画整理が進んでいます。
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芦屋市竹園地区被災状況写真
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こちらは芦屋のもう少し南の方にある竹園町という地区ですが、 こちらもなかなか大変な状況でした。
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淡路島津名町志筑地区建物被災度マップと被災状況写真
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これは淡路島津名町の志筑地区です。 この辺りは全壊の家が沢山あり相当の被害でした。
写真は同年2月12日に調査に行ったときの様子ですが、 津名町では瓦礫を埋め立て地で素早く処分してしまったので、 瓦礫の撤去がとても早かったという記憶があります。 まるで新興住宅地のように空き地が広がっていました。
空き地になったところで立ち話をしている様子が伺えますが、 普段であれば和やかな風景というところですが、 このときばかりは相当逼迫した様子で話をされていたと思います。
以上のように、 沢山の方が亡くなり、 とても大変な被害状況の中、 様々な調査が始まると同時に、 一方で復興計画の作成作業が進行していました。 しかし、 とにかく早く立ち直らないと、 再建しないとという思いで精一杯で、 景観についてはほとんど関心がもたれませんでした。
そのような中で「景観」が一体どんな目的・目標となったかを、 今日は色々と見ていきたいと思います。
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