一方で、やはり法で守られることによって、歴史的風土が村の財産にもなるという認識も出てきています。
このような状況の中で、今後の歴史的風土の創造的維持活用に向けて合意形成をどう進めていくのかが重要であると思います。
また、歴史的風土では自然の美がその基調になっているといえるわけですが、では一体どういった自然の状態が美しいんだろうかという、自然美に対する認識の深化というべきものも大事です。
さらに、特に河川や道路などの公共施設の社会資本整備において、いわゆる歴史的風土に「ならう」景観形成が欠如している中で、どのような空間デザインを提案していけるのかも考えていかなければいけないと思っています。
現在明日香村では、活発な活動が展開しているわけですが、活動の連携が弱い点も感じられます。そのため、みんなでコトを起こす地域戦略プランというものが必要ではないかと考えています。
また英国にはローマ遺跡を地下部でそのまま見せたりしている街もありますが、例えば地下に眠る歴史的資産をバーチャルに見えるようにするための新しい技術の展開も必要でしょう。また、例えば石積みについても伝統的な工法や材料が継承されていないところもみられるわけですが、そういった材料や技術への造詣を深めていくことによって、個別の景観要素の関係を理解した群のデザインが可能になると思います。
そして最後に、やはり人の活動を誘発できる空間デザインというものが、これから特に重要になってくるだろうと考えています。
以上で話題提供を終わらせて頂きます。歴史的風土のこれからについて本日は皆さんから色々なご提案なり、ご助言をいただけるとありがたいと思っています。
ありがとうございました。
これから考えるべきこと
広範な議論が必要
このような国や国民や村民が関わる風土を今後保全、あるいは活用、創造する場合の広範な議論の展開が求められていますが、その中でも一番大きなテーマは、強制力のある法的なゾーニングが行われているにも拘わらず景観の変容が進むことです。本来の意味での土地利用コントロールをどう実現していくのかが課題です。それから、明日香村の村民は「法の規制がものすごく強い」という意識を持っていらっしゃいます。
コトを起こすデザインと知のデザインの展開
次はハード面だけではなくて「コトを起こすデザインと知のデザインの展開」という事を考えてみました。
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