田中:
今日のタイトルでは予告されていましたが、時間切れで話せなかった「外国人観光客はなぜ日本から減っていくのか」について教えてください。
上田:
去年行われた「まちづくり全国大会」に出席された小泉首相も「なぜ外国人観光客は減るのか」とおっしゃっていました。シラク大統領が言っていましたが、パリの年間観光客数は5千万人だそうです。それにたいして日本は全体で5百万人で、しかも年々その数が減ってきている、というのです。アジア系の観光客は増えてきているのですが、ヨーロッパ系の観光客が減ってきています。
なぜ減るのか。それは日本に行っても、オリジナリティのある古い文化や伝統がなくなってきたからです。しかも高コスト。ヨーロッパの教会はみんな基本的にタダで入れますが、日本の大きな寺院はたいてい拝観料が要ります。
文化や伝統が町中のごく一部にしか残っていません。普遍的にはリトル・アメリカになってしまった。それがヨーロッパ人の現代日本への感想です。ですから今や彼らは、中国の方へ行ってしまうんです。「まだ中国の方が古いものが残っているから」と。まあ、これらは聞いた話なんですが。
悲しいことですね。観光客は日本にモダン建築を求めてくるわけじゃないです。我々だってヨーロッパに行くとき、モダン建築を見に行くわけじゃない。そんなことするのはひねくれた建築家だけです。もっとも私も昔はそんなことしてましたが。
外国人観光客はなぜ日本から減っていくか
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