結果は一つですが、言葉だと伝わりにくく、誤解を生みかねません。そのためCGや模型を使う必要があります。そして、現実性、機能性、技術などの検討だけでなく、質感の検証などのように五感で空間を感じるというプロセスも重要になってきます。検証やスタディを行うことが力のあるデザインに繋がっていくと思います。そして、結果的には図面化するわけですが、想いとかコンセプトが最後まで伝わるというのはなかなか難しいことです。しかしわかりやすく伝えていくのも我々の役目なのです。
ファッションデザインの業界はマンネリ化、老齢化しているという問題があります。その大きな理由として、良いアイデアやデザインがあっても良い生地が手に入らないので実現できないという問題があるそうです。このような問題を打破しようと、ある大手の生地会社のテナントショップとして、世界中の生地を1万アイテム以上を集めて、デザイナーの卵に50cm単位から売ろうというコンセプトで行いました。
デザインの具現化のプロセス
想いの具現化
デザインには色んな力があり、デザインの力でマチを変えることができると言えるのではないでしょうか。様々な会社や人が都市に対する想いをもっていますが、それを具現化していくことが私たちの役目だと思っています。その具現化という作業をどうすればよいのかを、私が関わった事例で説明していきたいと思います。
デザインとは、まず想いを共有することから始まると思います。ある集合住宅を設計したときの例ですが、表参道の原宿駅をおりてすぐの場所にある設計者もわからない建物を取り上げました。ここには表参道ヒルズなどの多くの建物がありますが、この建物は都市に表情を与えてくれていると思います。プロジェクトを始めるにあたって、こういった雰囲気を有する建物が良いのではないかと、クライアントにお話させていただきました。一つの街区の中で多くの方が関係されるのですが、こうした想いを共有していきます。
その次の建築に入る段階では、ビジュアルで提示していく必要が出てきます。
具現化の例
次は堀江のビルの事例です。若いファッションデザイナー向けに生地を売っているところで、コンセプトからいっしょに取り組みました。
デザインとは
デザインという言葉には様々な意味があると思います。三省堂大辞林では「機能や生産工程を考えて構想すること」と書いてありますが、我々もこのことを認識していかなければならないなと思います。そして、それらを具現化していくことも必要だと感じます。秋のデザインフォーラムでは「想いを具現化する」ということ、また都市デザインの必要性の発信をしたいと思います。
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