特に最近は、コンピュータが建物を設計する作業の中心になったせいか、変な建物がいっぱい出てきています。今までさんざん見てきたいろんな斜線制限や日影規制、セットバック緩和、天空率の導入、集合住宅を突出させる住宅容積率の緩和などいろいろありますが、建築の形態的妥当性や街並みの形成を考えない都市計画法や建築基準法でなんでもかんでもやろうとするのがマチガイです。とくに空地の確保がほとんど取引対象になっているあたりに、近代思想の残滓をみます。
話は飛んでますが、都市計画法は大都市の東京と大阪だけ別の法律にして、あとの都市はそれぞれに応じたしっかりした法律にしてはどうでしょうか。大都市と地方都市は別の法律体系にするべきです。建築基準法も、気候の違う北海道から沖縄まで全国一律というのがおかしいんです。
今は地方分権をどんどん進めていっているのに、都市計画の権限を委譲しても中身の変更は認めてないのは変です。もっとローカルルールを中心にした都市計画を作ってもいいのでは、と私は常々言っているのですが。
建築基準法の問題点
街並み・景観形成の視点に欠ける「形態規制」
本書の第4章は、建築家協会の方が中心になって、形態規制に関してその問題点を掘り下げました。
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写真ように大きくセットバックしたマンションばかり作らなくてもいいじゃないかと思うところです。
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最もよく見られる上部縦横カット | 段状・斜めカットが並ぶ典型的景観 | 斜めや段状の複雑な形態の建築物群景観 |
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今、東京の西の方はほとんどが写真のような光景になっています。幹線道路沿いに高層マンションが建って、その内側は高くても4〜5階、ほとんどは2〜3階の建物が密集しているという街並みです。歩くと、その足元はけっこう緑があったりするんです。
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違和感を生む「総合設計制度」
総合設計制度に関しても、ただ機械的にやっていればいいというものではないでしょう。
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これは月島の商店街ですが、建物がセットバックしてしまうとこんな風にアーケードが切れてしまうんです。月島に限らず、こんな例がそこら中で起きています。
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これは「連続性のある公開空地の事例」となっていますが、私は何かの間違いじゃないかと思います。どっちかと言うと、連続性は絶たれてるじゃないでしょうか。
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これを残すために悪戦苦闘した物語を三菱地所の方が書いてくださったのですが、やはり背後のビルの方が目立ってしまいました。
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最近はこういうのも残すようになってきましたが、こういう建物の方が資産価値がいずれ上がると思います。地震の問題さえなければ、現代建築よりこっちの方がいいものです。
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