|
もっと詳しく見ますと、まず煉瓦を積んでから間隔100mm程の煉瓦壁の隙間前面と背面にだけ型枠をセットして、そこにコンクリートを流し込んでいます。そのコンクリートを後から見てみますと、充填不良だったために型枠を取った後からモルタルが詰めてあったりするのですが、こういうのは本当に中まで充填されているのかどうかわからないわけです。 ですから、所定の強度が出ているのか、耐久性、すなわち鉄筋の腐食は大丈夫かといったことが問題になるわけです。このような状況です。
| ||
|
これは小学校を再建しているところです。
| ||
|
ここで使われている鉄筋はいわゆる丸鋼です。日本ではこういった丸鋼はもう使われていません。全て異形鉄筋という表面に凹凸のある鉄筋となっていますが、ここでは丸鋼が使われています。 それから右下は横方向筋、帯筋とかあばら筋とか剪断補強筋と呼ばれるものです。これらは径が4〜5mmのものが多く使われています。
| ||
建設現場に行きますと、砂とか砂利とかがありまして、それからここでは手練りではなくて、我々が実験室で使うような小さいミキサーを使っていました。
| |||
|
そうかと思うと、鉄筋をノコで切ったり、鉄筋の端を曲げたりというような色々な手作業も行われていました。
| ||
|
これは先ほども言いましたコンクリートの手練りの様子です。日本でもかつて行っていました。砂と砂利を混ぜて、真ん中にちょっとくぼみを作って、そこにセメントと水を入れてスコップで練っていきます。 セメント袋に書いてあるのですが、コンクリートを作る場合はセメントバケツ一杯に対して砂が2杯・砂利が3杯・水が1杯。あるいはモルタルですと、砂が6杯、もちろんモルタルですから砂利は無しで水が……というふうに、ちゃんと書いてあるわけです。しかしなかなかその通りに入ってないということです。
| ||
これは建設現場です。
|
郊外の分譲住宅
以上が住宅再建の状況ですが、あとはこの郊外の分譲住宅でも構造的な不具合があるということを紹介して、色々な技術的支援の必要性についてお話したいと思います。
これは都市部、ジョグジャカルタから少し北の方へ行った風景です。
| |||
この周辺にぽつりぽつりと建て売り住宅の団地が出来ています。一年前に竣工し、分譲されたところです。
| |||
|
その中に、震災の被害のあった住宅があります。これは2階建てですが、あるべき所に柱が無かったために壊れています。また、鉄筋が細いとか、鉄筋コンクリートの柱としての断面が小さいとかいったことが原因となっています。
| ||
大きな被害を受けた住宅です。倒壊した部分は、整理されています。
| |||
これなども、この上に屋根が乗るわけですが、本当ならあるはずの鉄筋コンクリートの斜めの梁がありません。 これはコンクリートの型枠ですね。
| |||
これは新築ではなくて修復だったと思います。
| |||
以上のように被害を受けた団地もありますし、このように全く被害のない団地もあります。
|
そういった問題点もありますが、こういった啓蒙がなされています。大切なことだと思います。
また、訪ねた大学の先生が指導して実際に配筋モデルも作っておられました。
ただし、まず最初はここに見えています柱梁を作って、次に住むのに必要な、高さが1mの煉瓦造の壁を作ります。そこから後は、おいおい時間をかけて自力で再建しなさいといったお話でした。
基礎は鉄筋コンクリートで作って、その後フレームを鉄筋コンクリートで作ったとしても1週間くらいでできるでしょう。その後壁を作ります。
とりあえずそこまで作って、あとは時間をかけて、最終的なバージョンとしてはきちんと屋根、壁、窓の揃った住宅を作るわけです。
啓蒙用ポスター
啓蒙ポスター
それからポスターを使った啓蒙活動をしています。例えば、部屋の中にはこのような壁があったほうがいいですよ、これはダメですよとか、鉄筋コンクリートの梁をつくりましょう、なければ揺れたときに簡単に倒れますよ、それを防ぐためにこういうものを入れるんですよ、といったことが分かりやすく表現されています。
啓蒙ポスター
配筋模型
ただ、これは啓蒙ポスターの中にあった鉄筋の配筋についての部分ですけれども、この壁筋は奥まで持って行かないと、引っ張られたときに簡単に角から抜けると思われます。
基本モデルハウス(Initial Core House)
Initial Core House
これは鳴海先生から頂いた資料ですが、住宅の復興プロジェクトとして、約18m2、5坪半くらいの家を仮設住宅としてではなく、本設として作るという話でした。
このページへのご意見はJUDIへ
(C) by都市環境デザイン会議関西ブロックJUDI Kansai
学芸出版社ホームページへ