ジャワ島中部地震 復興状況の報告
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再建の様子

 

住宅再建助成

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住宅再建助成
 
 現在、どのように住宅を再建するかが目下の課題であります。年末あたりには雨期に入りますから、それまでに居住環境を整備しないといけないということで、本格的に取り組もうとしています。

 聞いたところでは、地震後ジョグジャカルタ特別州の幹部が、被害を受けた全被害者の住宅を再建援助すると報道で発表したらしく、それで被害申請が増加したということです。

 ジョグジャカルタ特別州の助成対象として考えなければならない建物が約20万棟、中部ジャワ州では約10万棟という目安ですから、これを全部援助するとなると大変ですけれども、今はどういうふうになるかまだはっきりしていません。

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住宅再建助成
 
 ジョグジャカルタ特別州は当初、全倒壊住宅に3000万ルピア支給すると発表しましたが、それが1000万ルピアになり、それから400万ルピアに下がり、それも出来ないから結局4万2千棟を各36m2で1500万ルピアをかけて再建しようということになりました。

 それでこの4万2千棟を貧しい人に供与するか、あるいはそれぞれのコミュニティで選んでもらおうとか、そういう議論をしているという話を聞きました。

 これは、火山の噴火や南海岸の津波被害などが重なり、これらの支援にも多額のお金がいるようになって、出せなくなったようです。

 また中部ジャワ州では各戸に500万ルピア、総額450億ルピアを配布して、原則として自力再建で対応して欲しいという話になっています。この額はカソンガン(Kasongan)の住宅支援額と一緒です。

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住宅再建助成
 
 今どのように進んでいるのかわかりませんが、訪問したときに聞いたのは、助成を待ってるのではなくて自力再建を目指さなくてはいけないということで、建築計画や建築工法などを専門とする3名(学生等)でチームを編成して、1チーム30戸ほどを担当し、このチームが順次こなしていくという仕組みを準備していると聞きました。これを通じて、その地域の人が住宅づくりのノウハウを学んでいくことが期待されているようです。


コタグデの伝統的な建物の再建

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Kotagete
 
 それから、先ほど出てきましたコタグデ(Kotagede)は、震源から遠いのですが、ジョグジャカルタから近く、ここでもかなりの被害がありました。ここでは以前JUDIメンバーが行ってセミナーをやりましたので、記憶に残っています。

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Kotagete、1986年
 
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Kotagete、2005年
 
 これは1986年に大阪大学が調査したときの写真ですが、昨年行ったときも昔ながらの町がそのまま残っていました。

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Kotagete、2006年被害状況
 
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Kotagete、2006年被害状況
 
 それが今回こんなふうに被害を受けました。文化財指定がされていたのかどうかわかりませんが、されていなかった場合は、市民に愛されて親しまれているけれども文化財じゃないから金が出ないということになるわけです。

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Kotagete 伝統的な建物の再建プログラム
 
 現地で歴史的環境の復興の責任者として活躍しておられるシータさんが、今日会場に来ておられますが、現在復興プログラムを作っていまして、里親式の再建プログラムを検討しているそうです。

 また、解決すべき課題としては、先ほど小浦さんがおっしゃったように、木彫部分が骨董品として買い取られるなど、この地区の民家にある本当に貴重なものが、失われてしまうわけです。また、将来的には白アリ対策をちゃんとしなければならないといったこともあります。


津波被害

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ジャワ津波
 
 さて、ジャワ津波がありましたが、その震源がここです。7月17日の地震で津波被害を受ける可能性のある標高10m以下の地域を塗りつぶした図です。この通り被害を受けたわけではないですが、それでも相当な被害が出たようです。

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ジョクジャの軸線
 
 これがジョグジャカルタです。

 地震と津波のダブルパンチなんです。ジョグジャカルタに行かれた人はわかると思いますが、宮廷があって、それから宮廷の北の方にトゥグと呼ばれる塔があって、南の方にはパングン・クラピャックと呼ばれる門があって、前者は山のシンボル、後者は海のシンボルです。

 王は、山の神様と海の女神に並ぶ力を持つ者であるという、ジョグジャ流の宇宙観が表現されているわけです。

 今回の被災で、ジョグジャカルタは山の神と海の女神の両方から見放されたということで、王様が神様に怒られているのではないかといった話が出ているそうなのですが、何となくそんな感じもします。年寄りたちはそういう話ばかりしているのではないでしょうか。


廃材の分別

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廃材の分別
 
 自力建設については先ほど説明がありましたので省略します。廃材の分別についてもさっきありましたけれど、右の写真のようにやっています。

 阪神淡路大震災の1〜2年後にインドネシアのガジャマダ大学に行って阪神淡路の状況をスライドで説明したのですが、ガジャマダ大学のある先生が「全部燃やして捨ててる、絶対もったいない」といったのが今でも思い出されます。もったいなかったですね、きっと。


日本への提言

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日本への提言
 
 これは先ほどの小浦さんの提案と重なりますが、阪神のときはHAR(ハル)基金というのがあって小回りのきく助成ファンドとして活用されました。現地では、地方政府間の連絡があまり上手く行ってないように思われたので、それに対する対策が是非必要だと思いました。

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