都市公共交通と環境デザイン
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公共交通と都市環境デザイン

 

 公共交通と都市環境デザインについて、LRTがどういう関係にあるのか、思いついた順にまとめてみました。

 一つ目は、「目に見えるわかりやすい都市構造を造り出す」ということです。

 これはレールが街の中にあると、街の構造がわかりやすい、安心して乗れるということです。

 二つ目は、「ユニバーサルデザインを実現する」ということです。

 全ての人にとって移動しやすいまちづくりに役に立ちます。

 それから三つ目ですが、「個性的なまちづくりに役立つ」ということです。

 LRTが整備された街に行きますとLRTが走っている道が一種の街のシンボルになっています。これはディズニーランドに行くと馬車鉄道があるとか、ロンドンに行くと赤い二階建てバスがあるとか、そういったような意味で街のシンボルになりうるということです。

 四つ目は「中心市街地が活性化される」ということです。

 日本は特に土地が狭いため土地利用が窮屈ですが、それに対して道路空間が広いスペースを占めています。それを、例えば歩行者向け、あるいは環境のために使うスペースとして再配分していくことが考えられます。

 五つ目は「乗ってみたいデザイン」ということです。

 これは先ほどの個性的な都市空間づくりの話でもあったように、街のシンボルにするとか、住んでいる人がその街の交通システムを誇りに思うとかいった意味です。

 それから「道路の緑化」、これは先ほど写真をご覧いただきました。

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東大寺
 
 さて、日本では公共交通のデザインが不幸な状況が長く続いておりました。

 例えばこれは東大寺の転害門近くにあるバス停です。無関心と言いますか、世界遺産と熱心に言いながら、こういう状況がまかり通っています。

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LRV(フランス製) LRV(日本製)
 
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LRV(フランス製) LRV(日本製)
 
 それからコストの制約が厳しいんですね。日本では独立採算が厳しく求められます。

 例えばフランス製と日本製の車両(LRV Light Rail Vehicle)の外観やその内装を比べますと、日本製もなかなか格好良くは出来ているのですが、デザインの専門家に見て頂くと、色々な差があることがおわかりいただけると思います。

 メーカーの方に伺うと、日本の場合どうしてもコストの制約が厳しくて、例えばヨーロッパのもののようにお金をかけられない。あるいは知恵を絞り出す時間がないというようなことをおっしゃいます。

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阪堺線の広告車輌
 
 また、全国の都市の公共交通機関でずいぶん盛んになっている広告車両というものがあります。ずいぶん涙ぐましい努力ではありますが、それを別にしても、こういったものが街の中を走り回るということの善し悪しを考えなければならないのではないかと思います。

 私の話は以上ですが、こういった厳しい状況の中で、富山では非常に美しい電車が街の中を走り抜けるようになっておりますので、そのお話を宮沢さんの方からしていただこうと思います。

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