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近隣住環境計画の概要

 

近隣住環境計画とは

 狩野です。よろしくお願いします。

 私は、今年から建築行政に携わっております。先ほど松原さんから何度もお話のありました近隣住環境計画についてご紹介したいと思います。多分聞いたことのある人は少ないでしょうし、聞いたことがあっても内容がよく分からないというのが現状ではないかと思っております。

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近隣住環境計画とは
 
 近隣住環境計画とは、簡単に言えば建築基準法の弾力的な運用ということです。

 学生さんも沢山おられるようなので分からないかもしれませんが、建築基準法をよく見ると但し書きというのがあります。「○○してはならない、但し建築主事の同意を得て特定行政庁が認めた場合」とか言ったことが書いてあります。

 こういったものを許可とか認定と言うわけですが、要するに「建築基準法で原則は禁止されているけれども、特定行政府が認めたらできるよ」ということなのです。

 緩和をできるだけ使いたいけれど勝手にやるわけにはいかないので近隣住環境計画というものを「神戸市民の住環境を守り育てる条例」で詳しく定めています。

 これは一定の区域、それも「向こう三軒両隣」から1ブロックといった広範囲の場合までありますが、その区域の権利者がこういう街にしたいという計画を立て、それに基づいて最終的には神戸市がこれを定めるというものです。このような計画を定めれば、建築基準法をできるだけ弾力的に運用していこうというわけです。

 さて具体的に何を定めるのかと言いますと、まず先ほどから出ています道路整備方針および計画です。また、建築物などについても定められますが、駒ヶ林では特に道路の整備方針および計画を定めています。


近隣住環境計画の流れ

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近隣住環境計画制度の流れ
 
 この制度を一言で説明するのは難しく、なかなか理解を得られず広まっておりません。

 図のように、まず住民が計画をつくって市長に申請し、市長が近隣住環境計画案を作成して公告縦覧して計画決定するという流れになっています。

 神戸市が計画を決定するということで、例えば水平距離指定や壁面線指定について建築基準法の但し書きを活用した内容が定められます。

 ところが個々の人がこれにもとづいて、増築や新築といった建築行為をする場合、改めて、もともとの建築基準法上の手続きが必要です。具体的には、43条但し書きの許可について建築審査会の同意が必要になります。これが非常にわかりづらい点です。

 言い換えれば、43条但し書きの許可について建築審査会の同意が得られるのであれば、近隣住環境計画がなくても済むとも言えます。ですから、何の役に立つのか分かり難い所もあります。この計画で定めておれば、おそらく個別の建築行為については全て許可されるだろう。でも近隣住環境計画なしに単独で行う場合は許可にならない場合があるのではないかというくらいの違いしかないと思われます。

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