都市にミュージアムは不要か?
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1。芦屋市立美術博物館の概要

 

芦屋市立美術博物館HP

施設概要

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 さて、この美術館に行かれたことのない方のために概要をご紹介します。

 正式名称は「芦屋市立美術博物館」と言います。美術部門と博物部門があり、博物部門では特に歴史系の展示あるいは資料収集をやっております。

 延べ床面積は本館が3,400m2ですから、ミュージアムとしてはそんなに大きな方ではありません。大きな展示室が2つと、その他に講義室、体験学習室、それからミュージアムショップというには恥ずかしいのですが、受付カウンターでちょっとした関連商品を売っています。

 それから敷地内には小出楢重のアトリエを移築してあります。このアトリエの隣に喫茶店を作っておりました。赤字続きということで長い間閉鎖しておりましたが、去年、ちょうど我々が運営受託した半年後から、近所にお住まいの有名コーヒー販売会社の社長さんの協力を得て赤字覚悟で再開していただきました。今は、散歩途中の住民の方にも寄っていただいているようですが、経営が厳しいことは変わりません。

 それから、あまり知られていないのですが、富田砕花の旧居が近所にあります。その管理も美術館が受けています。

 また美術館の東隣にある谷崎潤一郎記念館も芦屋市が作ったものです。ここも市が持ちきれなくなって、どこか運営受託してくれないかと探しておりました。今は芦屋市内の個人の方が会社を設立して運営されています。これも当然のことながら赤字です。

 このような施設が、芦屋市立美術博物館であります。


アクセス

 芦屋市は縦に細長い小さな街です。旧海岸線から南が芦屋浜シーサイドタウン、さらに南に南芦屋浜団地が広がります。この芦屋浜シーサイドタウンとの境目、旧海岸線の所に堤防が今も残っています。その堤防の北側に、隠れるようにあるのが我々の美術館です。

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周辺地図
 
 場所が不便だとよく言われるのですが、どのくらい不便かというお話をしましょう。

 美術館より北の方角にJR芦屋駅があります。その西側、芦屋川のほとりにルナホール、芦屋市民センターがあります。この辺りが言うなれば従来の芦屋の文化ゾーンです。

 また芦屋川、宮川、市外になりますが夙川と、3本の川が流れ込んでいる所が阪神間の典型的な特徴を示しているのですが、これらを横切るように国道2号、国道43号、JR、阪急、阪神が通り、さらに南側には堤防のラインが横切っています。

 こうした東西を結ぶ複数の交通幹線に対して、芦屋市はJR芦屋と臨海部をつなぐ南北の都市計画道路を整備しています。これを南北都市軸として市は位置付けているようです。

 さてバスルートを見ますと、芦屋浜と南芦屋浜それぞれに阪急バスの車庫があります。ここを起点にニュータウンの中をぐるっとまわってから、ほとんどのバスはずっと北上していって阪神芦屋駅、JR芦屋駅、あるいは阪急芦屋川方面へ行きます。

 阪神芦屋駅から南下するバスは大抵シーサイドタウンの中に入って行きます。美術館への最寄バス停はシーサイドタウンのなかにあるのですが、ここに住んでいる住民は知っていても、よそから来られる方にはおそらくまったく分からないと思います。実はシーサイドタウンの中には入らず、堤防沿いの臨港線という道路を東へ行ったところに別の最寄バス停があるのですが、そのバスの本数はわずかしかありません。それからもう一つ、先ほどの都市軸をJRから南下するバスも一応あります。ただしバス停と美術館とは少し離れています。

 こうしたバス便の分かりにくさが、不便だ、不便だと言われる理由のひとつなのです。

 


周辺状況

 美術博物館のそばには谷崎潤一郎記念館と図書館が隣接しています。この3つで市の文化ゾーンを構成しています。また、堤防を挟んで下水処理場、それから中央公園というグラウンドがあります。下水処理場にふたをしてテニスコートにしておりましたが、最近は使われていません。

 これらの施設群を上空から見ますと、芦屋の中心文化・スポーツゾーンというように見えなくもないのですが、現実には旧堤防で完全に遮られています。

 それから美術館の周囲は、だいたいが低層の戸建てで、小規模な集合住宅がパラパラとある程度です。以前は企業の社宅なども多かった所ですが、現在ではそういったところがマンション化していますが、いわゆる閑静な住宅街には変わりありません。

 南北都市軸沿いに店舗がもっと張り付いて賑わいができれば、そこから文化ゾーンへの人の流れができそうなのですが、なかなかそうはいきません。

 あるいは、南北都市軸のすぐ西側には、歩者共存のコミュニティ道路化が国道43号まで続いていますので、この道に小売店とか飲食店とかいったものが、飛び飛びにでもできればよいのかもしれません。

 車でのアクセスですが、南側の臨港線からはレベル差がありすぎて、直接進入することができません。臨港線との間には歩行者が通れる階段があるだけです。結局車は、住宅街の中の一方通行の細街路を迷いながら入ってこなければなりません。敷地西側には専用駐車場があるのですが、ここまでまよわずたどり着ける車は少ないでしょう。

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