都市にミュージアムは不要か?
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

 

7。委託契約費と費用対効果

 

 というわけで我々としては、こんな事では全然ダメだと思っています。去年一年間の反省をしました。それで今年どうしようかという話を今しています。今年の企画はさすがに去年の秋口から色々仕込みを始めました。ただし、予算は昨年と同じ1200万円しかありません。それでも何をしようかという事を事前に考える時間が出来たのは随分進歩だと思います。ですから具象アートとか、画家のコラボレーション、色んな市民団体のコラボレーションも考えている所です。

 それでいくらかかるの?ということですが、とりあえず市から約4700万円頂いています。市はもちろんそれ以外に大規模修繕などにも費用を出していますし、市の職員が一名常駐しています。

 で、このうち展示活動に使えるのは1200万円。では残りは何かというと、6人分の人件費と日常の経費、保守管理料等々です。ですからお金がないということは大体わかっていただけたかと思います。では仮にこの4700万円でどこか民間が受けるかと言ったら、どうでしょう。そのような状況です。

 ちなみに、では我々が受ける前はどれくらい使っていたのかと言いますと、正確な数字はわかりません。でも文化振興財団から美術館に流れていたお金は1億数千万円あったということだけは聞いています。ただそれが何に使われたかということは、あまり明快ではないので、ここではあまり変な事は言えませんが、とにかく我々についてはそのような事になっています。

 ちなみに、昨年度の決算では人件費が約40万円の赤字、これは残業などです。それから企画については60万円ほど余らせました。それからこれも後になって分かったことなんですが、こういった事業所の場合消費税がかかるんです。ところが開設して初年度と次年度目は消費税は納めません。皆さんはご存じでしょうか。で、この消費税の分を一応市から頂いていたのですが、これが結局いらなかったということなので、そのままお返しすることになりました。

 費目は全てガチガチに定められていて、我々の裁量が許されるところはありません。1200万円の中身をどう使うかだけが我々の考えられるところなんです。

 そういう中で、今度はNPO法人としての活動があります。ミュージアムを運営するために作ったNPOですが、ミュージアム運営はあくまで市から委託された仕事です。AMMの自主事業もやっていいわけで、それも当然あります。その自主事業が、古本市やアートフリーマーケットです。しかし、こういった催しは市の条例からすると想定外の使われ方で、去年は「目的外使用」という名目で処理されていました。自主事業をもっと本気でやっていこうとするなら、条例を改正しないといけません。

 初年度と今年の2年間は、美術館を使った大きな社会実験だと理解しているんです。この間にいろんな可能性を探ることとし、市や教育委員会もそのやり方には理解を示してくれています。しかし、本格的に動いていくためには、制度的に改革していかねばならないことがまだまだいっぱいあるようです。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見はJUDI

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ