都市にミュージアムは不要か?
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9。ミュージアム指定管理の課題

 

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 指定管理制度に関する私見なのですが、ミュージアム自身がどんな課題を持っているかを整理してみました。

 まず、ミュージアムにはお宝とも言うべき様々な収蔵品があります。ここが、冒頭に話した「プールや体育館の管理とは違う」というポイントです。そして、収蔵品にも市自身が所有しているものと市民から寄託されているものとがあります。その管理責任は誰が負うのか。もちろん市が責任を負うに決まっているのですが、管理を外部委託するなら委託先にどのように責任を持たせるのか。この部分が今は全く白紙です。

 もうひとつミュージアムにとって重要な機能には、収蔵品の価値を評価することです。国公立や由緒のある美術館に収蔵されているなら、価値の高いものだろうと見なされているのですが、指定管理を受けた団体はどのようにそうした信頼を培っていくのだろうかと思います。価値評価については別にコミッティを設ければいいだろうという意見もありますが、それだとまた話がややこしくなって、市・指定管理団体・価値評価するコミッティ・市民団体のNPOの四者が絡み合うことになります。

 こうした図式をきちんと作っておかないと、価値評価は指定管理団体には無理だと思います。

 それから、重要な問題としてミッションの不明確さがあります。ミュージアムを市は何を目的として設立したのか。発注者としてのミッションが明確にされないと、指定管理側は何をすればいいのか分からないことになります。プールや体育館の管理ならそのミッションは明らかなのですが、ミュージアムの管理はそのミッションをはっきりしないことには動けません。

 最後に独立採算のことに触れると、少なくとも入館料収入だけで維持していくのは無理です。それ以外の収入の仕組みを考えないといけないのですが、その仕組みがもともとないんですよ。

 こうした数々の問題について、じゃあどうしていけばいいのかを提案いたします。

 まずは、市がミュージアムのミッションを明確に示すこと。市がまず示し、受ける側がそれを理解し、ミッションを共有するプロセスが大事です。そのミッションの中でも、収蔵品や委託品の問題がありますので、公私の役割、責任の所在を明確にしていかないと、管理を請け負う側は怖くて受けられないでしょう。

 また、維持していくためには入館料収入だけでは無理ですから、ミュージアムの多機能化・複合化を考えるべきです。多機能化とは、例えば飲食機能、物販機能をその中に入れたり、コンサートや集会機能を持たせてみてはどうかということです。複合化とは、ミュージアムの周辺と組んで集客装置にしていけないかということです。例えば、谷崎記念館と組んでみたりといったことですが、僕が一番希望しているのは図書館と組んでコラボレーションできれば、市民も違和感を感じずに税金を払ってくれるのではないか思います。「芦屋市立美術博物科学図書館」にならないかなと思っています。

 それと、今後我々自身が考えていかねばならないのですが、美術+博物、美術+科学あるいは収蔵品+よその何かというような「編集する力」は絶対必要になると考えております。

 また今後は、教育委員会だけでは太刀打ちできないだろうと思っています。もちろん、学校教育とのつながりなどいい面もいっぱいあるのですが、やはり本音を言うと教育委員会とは離れて商工あるいは都市計画、土木と組めば予算も動くかなと思ったりもしています。

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