環境共生と農のまちづくりへの挑戦
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大阪府の農空間の現状

 

はじめに

 大阪府立大学大学院の生命環境科学研究科緑地環境科学専攻に所属しており、緑地計画や緑のある景観計画を専門にしています。ランドスケープを専門にしていると言ってもいいと思います。

 今回はアーバンフリンジの農空間のまちづくりということで、堺市の市街化調整区域の事例を通し、都市近郊部でどのような事が起こっており、どのようなまちづくりが展開されているのかを話したいと思います。

 私は緑地計画を専門としていますが、平成11年以前は、市浦都市開発で宅地開発の絵を描いていました。大学に戻ってからは緑地計画を専門にするようになりました。緑に覆われた土地として公園や里山などだけでなく農地というものもあります。そのなかでも特に市街化調整区域の農地が厳しい状況にあり、その対策の検討について大学の方に堺市その他から依頼が来ました。そして研究室の学生とともにこれまで5年間取り組んできました。

 まず大阪府の農空間の現状を簡単に説明させていただいた後に、金岡地区と上之・辻之地区を事例にお話しをさせていただきたいと思います。


大阪府における農地の推移

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70年、90年の土地利用 98年の土地利用
 
 これは大阪府の土地利用の推移を示したものです。70年では農地が市街地と山の間に連坦して存在していましたが、20年の間に細切れになってきました。特に中河内や南大阪で減少傾向が大きくなっています。さらに1998年のものをみると、90年以降も徐々に減ってきたことがわかります。

 さらに1998年の土地利用を示したものをみると、90年以降も減ったことがわかります。山村は微減ながらも、農地は70年の時期に3万2000haあったものが1万7000haまで減少しています。大きな地域の環境を作っていくということを考えた場合に、緑で覆われた土地が無くなっていくというのは非常に問題であり、適切な土地利用が必要であると考えられます。


農地に関連する法規制

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おおさか農空間アクションプラン/大阪府より
 
 農地が法規制でどうなっているのかを整理すると、市街化区域の中には生産緑地という制度があります。一方で市街化調整区域の中には農政の法規制として農業振興地域があり、その中に農用地区域があります。大阪府内の市街化調整区域の1万haの農地のうち、農用地区域に約半数の5000ha、農用地区の掛かっていない白地農地が4400ha存在しています。

 先ほどの農地の変遷を法規制の関係からみていくと、市街化区域では1970年時点に1万2000haほどあった農地が3200haまで減少しています。一方で調整区域の中では、農用地区域は2割減程度であるのに対して、白地では3割または4割も減少しており、非常に不安定な状況にあることがわかります。

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