今年初めて岸和田だんじり祭りを生で見て、自分はこれまでこの祭りに対してメディアの断片的な情報だけで構築された一面だけしか知らなかったことに気付かされた。それはもちろん地車がやりまわしを行いながら走り回っている姿だけであり、それ以外知らなかったのが事実である。今回のプレ・フォーラムには、岸和田市や祭りについて詳しい方が数名同行していたおかげで、普通に観光していては知ることが出来ないような話とかが聞けて非常に良かったと思っている。もし自分が何の情報も持たずに来ていたとしたら、おそらく観光マップに従がって岸和田駅からカンカン場とベイサイドモールとの往復だけに終わっていただろう。
まず岸和田市には海のだんじり地区と山のだんじり地区があり、80基以上の地車があるとの話に驚いた。また海のだんじり地区の中でも旧市地区と春木地区とは別に祭りを行っているとのことから、この祭りが現行の市制の枠組みではなく、祭りが盛んになった江戸期の集落の枠組みで今もなお行われていることが容易に理解できる。
実際に祭りを体験して強く感じたことは、祭りというものが地域に住む者たちにとっては重要な神事であり、その準備を通して地域の人たちが一丸となっていくところである。地車の引き手たち以外にも、彼らを支えるために町に住む者全員が一丸となって祭りに参加している。そしてそのシステムは町のコミュニティと密接に関わっている。それらは少年団に始まり、青年団から組・若頭へとあがるにつれて祭りでの重要な役割を任されるようになる。