中村伸之(ランドデザイン):
今日は『京町家の遺伝子』という本をお書きになった山本良介先生をお招きし、先生が日頃からご覧になっている京都の町並みや町家の表情を、スライドで見せていただきます。また先生のおつくりになっている建築の中に、京都の遺伝子をどのように取り入れておられるかを、お聞きしたいと思っております。
このセミナーは、10月に行います「京都の景観」をめぐる都市環境デザインフォーラム関西に向けたものです。
去年、京都市が新景観政策を打ち出しました。私たちはその際、京都市の姿勢を評価し、賛同しました(意見書参照)。この政策は、建物の高さの上限を下げる高度規制と、デザイン基準という二面性を持っておりますが、建物の高さを下げることは、京都の秩序ある都市づくりを考える上で必要なことではないか、それを今やらなければどんどん先送りになってしまうという面から、戦略的な意味でこれに賛同したものです。
デザイン基準につきましては、賛否両論があり、私個人としてはよくわからない点もありました。大事の前の小事という印象もありました。今、高度規制につきましては、高度地区が改訂され規制強化されたわけですが、デザイン基準については、よくわからない状態です。それについて考えていきたいというのが、今度のフォーラムの趣旨です。
デザインは、とんでもないものができないように規制しなければならない面と、まちの楽しさや文化的な創造を考えた時に、規制だけでは済まない、自発的な創造と言いますか、住んでいる人、あるいは建物をつくる人の楽しさを大事にしなければならないという面もあります。その辺のバランスをどう取るのかというところを、今考えているところです。
今日ご紹介する山本先生も『京町家の遺伝子』を書かれ、伝統の中から次の世代に受け継ぐもの、遺伝子というものを色々お考えになって、町を歩かれて発見されているわけです。その視点から「京町家の遺伝子」とは何か、どういうものが京都の町の個性をつくっているのか、そして、その遺伝子を新しくつくる建物でどう受け継ぐべきかについて、お話を伺いたいと思います。山本先生、よろしくお願いいたします。
趣旨説明
このページへのご意見はJUDIへ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai
学芸出版社ホームページへ