まとめ〜最近のランドスケープについて |
鳴海邦碩:
最近のランドスケープの仕事についてゆっくり聞く機会がなかなかありませんでしたので、今日のお二人の発表は考えさせられることが随分とありました。お二人の小林先生、ありがとうございました。
若い方の小林和子先生の「出来上がった公園はどんな公園か」という紹介があまりなかったので、どんな公園になったのだろうという興味がひとつあります。
今日のお二人がお仕事の対象とされている公園やオープンスペースという空間は、建築と比べるとその機能がはっきりしない空間です。機能的なお話があまり出てこなかったのも、そういうことが影響するのかなとも思いましたが。
お二人に関連するキーワードには「美しい」「親しみ」「感動的」「愛着」という言葉があり、そんな空間を作りたいと思いが共通してあったと思いますし、ランドスケープとはそういうことを狙っているんだな、ということも改めて感じました。
小林政彦先生が展開されたお話では、日本人が使いこなしていける材料があるかどうかという問題が大きいですよね。植物とか水とかを使って、どう大きい風景、小さい風景を作り上げていくかは、やはり歴史と伝統の作法があって、その上に作り上げていかなくてはいけないんだということも実感いたしました。喩えは悪いかもしれませんが、書道のような気もしました。文字だけを書くのもあれば絵のように書くのもありますが、その材料は墨だけなんですよね。そんな感覚が日本的なランドスケープにはあるのかなと思いました。これからはそういう視点で見てみたいとも思った次第です。
また、ワークショップ型のデザインでは、参加型でやってそれをデザインに仕上げていくためには相当な苦労をされているだろうと思います。ランドスケープデザイナーとしては、ある一定のレベルを超えないといけないし、親しみを持ってもらうために市民が出してくれたいろんなヒントを入れ込んでいかないといけない。そのせめぎ合いの中でレベルの高い空間を作っていかないといけません。そういうご苦労を経て出来た公園は、どんなものなのか実際に見てみたいと思いました。
今日は、私にとってもフレッシュなプレゼンで、考えさせられることも多く、面白く聞かせていただきました。お二方、どうもありがとうございました。
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