南山探検隊の例はなつかしくうかがいました。ところで、この地域はニュータウンと違って通勤圏の外にある地域ですから、地元の方が住まわれていることが多いと思います。ワークショップをやっていてライフスタイルの差など、何か感じたことがあれば教えていただきたいのですが。
小林和子:
ワークショップではなく探検隊という形で始めたのは、町民の方が公園に対して、あるいは新しい町に対してどう思うかという気がかりがありましたので探検隊という組織になったということがあります。
大矢(都市環境ランドスケープ):
一緒に仕事をしていた大矢です。
その点については、近隣の隣接する町から入居される方々も住民という形でとらえていました。建物がまだ建ってない状況でワークショップをしていました。
小林和子:
オープンスペースに対する認識は、都市部の方とだいぶ違うなあということは感じました。求められているものがはっきりしていました。「広い場所はいっぱいあるから、アメニティ部分をはっきりさせてほしい」という要求は強かったと思います。ただ、東条町という田園空間であっても、子どもたちは意外と自然に親しんでいないと感じました。やはり自然と親しむ公園のあり方を紹介するワークショップという点では、都市部でも地方でも一緒だったと思います。
それと、URさんに対しては、もっとその販売にうまくワークショップを使ってくれたらいいのになあと思います。私たちは、これから住まわれる人も参加してほしいねと新聞広告の提案をしたりするのですが、そういうときにURさんもうまく合わせて販売活動をしていただけると、ワークショップの株も上がるのではないかと思ったりしています。
スライドを拝見していると、形として随分洗練されているように感じました。
ワークショップから形になるまでの間のプロセスについて、もう少し詳しくお聞かせ願えればと思います。
小林和子:
私が仕事の中で気をつけていることは、住民の方とのワークショップの結果ががっかりするようなものにならないようデザインすることです。それが自分の役割だと思っていますし、それこそがランドスケープデザイナーがワークショップのファシリテーターを務めることだと考えています。
その中で、良いデザインが生まれる要因として重要なのが、やはりプロセスデザインです。つまり、どういったプログラムでデザインをやっていくかが重要なのです。持ち帰ってデスクワークでデザインするという世界の仕事ではないと思います。
そのプロセスデザインの中で痛感しておりますことは、参加してくれる住民とどれだけコミュニケーションがとれたかが決め手になってくるということです。ワークショップのグループワークの時に意見をかなり集約しようとするファシリテーションもあろうかと思うのですが、私たちは意見を出来るだけ多く出してもらうようにしています。それをある一定の段階で集約していくのも私たちの役割です。
そのグループワークを進める時に視点として持っておきたいのが、みなさんが言っておられる意見を、計画のフレームワークの中でどこに落とすかということをきちんと把握すること。それが描けないと、ランドスケープデザイナーが関わる意味がないと思います。そこに注意して、ワークショップを進めています。
僕もワークショップをやっていて、今日のお話はとても参考になりました。まず、
(1)仰木の里で450人の子どもとのワークショップという事例ですが、テーブルファシリテーターはどういう風にされていたのかなと気になりました。
(2)南山の事例では誰でもが参加できるワークショップにして様々な方が参加されたとのことですが、どういう方法で集められたのでしょうか。
小林和子:
(1)テーブルファシリテーターについて言うと、仰木の里ではいませんでした。子どもたちが勝手にやっていましたね。ただ2時間の授業の前に、「今回はこれを使います」ということだけはアナウンスするんです。「今日は大きな地図を配ります」「今日は大きな紙を配ります」というところだけやって、後は子どもたちの自由に任せました。付いている先生たちも公園づくりなんてやったことありませんから、先生自身にも楽しんでやっていただきました。
その後、それを集約するときは、どんな要素が出てきたかを一つずつ拾い出して分析する作業を行いました。発注者に納得してもらえるよう、マトリックスやグラフを使って、計画案としてひとつにまとめました。
(2)多様な参加者を呼び込む方法については、けっこう難しいことがありますよね。けれども南山の場合は町に小学校が2つ、中学校が1つという環境でしたので、小学校を中心にすれば全域をカバーできるだろうと考えました。参加者の人から先生にチラシをお渡しして、全員に配ってくださいとお願いしました。あとは、新聞広告を打ったので、かなり広い地域から人が来られたということがあります。
大矢:
補足して言うならば、町の担当者の力が一番大きかったと思います。フットワークの軽さ、ネットワークを多く持っておられたことです。
ワークショップについて
■田園住民の意識
西(UR):
■ワークショップから形になるまで
足立(朝来市役所):
■ワークショップの進め方について
奥田(空間創研):
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