4 イタリアの元気の源は、チェントロ ミノーレ(小さな町)にある
4−1 ルネッサンスの3巨匠、その生家を訪ねると、、、、。
          井口 勝文 YoshifumiInokuchi  京都造形芸術大学
 
 レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ・ブオナッロティ、ラファエッロ・サンツィオ。この3人がルネッサンス芸術の3巨匠と言われているのは、誰でも知っている。
 ではその生家は?
 レオナルドの生家があるヴィンチ村を訪ねたことがある、というJUDIメンバーは多分居るだろう。フィレンツェの郊外だから比較的訪ねやすい。
 ラファエッロの生家には行ったことがある、という人も居るだろう。世界遺産の町、ウルビーノの町なかだから、ウルビーノは遠いけどそこまで行けば必ず訪れる名所だ。
 フィレンツェの町なかにあるミケランジェロの家を訪れたことはあっても、彼の生家に行ったことのあるJUDIメンバーは、居ないかもしれない。生家のあるカプレーゼは今でも辺鄙なところだ。フィレンツェから東に山を越えて車で3時間ほどかかる。カプレーゼとは山羊を意味する単語で、昔この辺りは羊飼いが放牧で泊まり歩いてただけの山間の地だ。そんなとこから着いた地名だと案内書には書いてある。そんなさびしい場所にミケランジェロの生家はある。
 ではこの3箇所を全部訪れたことのある人は居るだろうか、それも7日以内に3つを一気に見比べて回った人は居るだろうか。JUDI関西のメンバーが今回はそれをやったのです。「快挙である!」と言って欲しい。
 何の為に、何を見に行ったのか。やはりそれをあなたは聞きますか?
 生家は、行ってみればどれもたいしたこと無い。「これだけ?」という感じ。
 そこに何かをくっつければくっつけるだけ、「生家」のもともとの空気が失われていく。当時を偲ぶ想像力が萎えてくる。耳を澄ましても、550年前のレオナルドの産声が聞こえなくなる。
 世界の名所に相応しく、そこには何も無い。そこで生まれたという事実だけがある。
 そのことを確かめに、我々は行きました。一気に3箇所を巡ることで、「何も無いことを見に行く見学ツアー」が成立したのです。
 町なかにあるラファエッロの生家は別として、他の2つは何れも辺鄙なところにぽつんとある。
 3箇所ともそれらしい案内板は何も無い。余程気をつけてないと見過ごしてしまう。ラファエッロの生家は町並みの中に埋もれているし、レオナルドとミケランジェロの生家は自然の風景の中に隠れている。
 これこそ名所づくりの名人技ではないでしょうか。見習って欲しいところが日本にはたくさん在りますけど、、、。

Raffaello Sanzio(1493〜1520)の生家の前で。

Leonardo Da Vinci(1452〜1519)の生家の前で。
Michelamgelo Buonarroti(1475〜1564)の生家の前で。補修の工事中でした。
 

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