4−2 ボローニャBologna 創造都市の修復事業
          加藤 晃規 AKINORI KATO 関西学院大学
 
■EUの都市戦略
 創造都市ボローニャとして脚光を浴びているがその最近の成果や如何に? 2009年の8月末、ボローニャゼミの参加者と共に酷暑の街中を視察した。EUの創造都市と言えばバルセロナ市やナント市も評価が高いが、それらに共通する点は市の芸術文化政策の特徴であろう。ヒストリックセンターの伝統文化と未来指向の現代芸術を、創造的、空間的、都市戦略的にハイブリッド化して見せている。

■チェントロ・ストリコ住宅修復事業
 チェントロ・ストリコの中心マッジョーレ広場から南へ700mほど下るとかっての聖マモロ門跡がある。この城壁門の内側にソルフェリーノ地区がひろがる。1960-70年代の密集市街地修復事業の傑作で、いわゆる「類型学的保存」の典型版だ。街区内の敷地割りや建築様式を類型的に残すことで庶民住宅地の景観を守り、同時に現代的な都心機能も果たしている。その一角で複数画地を占有したホテルが開業していた。若い起業者が経営するプチホテル「Hotel Porta San Mamolo」だ。暗いポルチコからホテルフロントに入ると、光が差し込む裏庭にレストランが作られており、その設計にはチェントロ・ストリコ内での苦労の跡が伺われた。こうした修復事業がチェントロ・ストリコ内の13ヶ所で行なわれている。

■宗教建築物の用途転用
 ソルフェリーノ地区を後にして歴史的地区内に点在する教会遊休資産を巡った。大半が大学や高校あるいは寄宿舎やミュージアムに用途転用され、いずれもボローニャ市の文化振興と都心景観に寄与していた。そして、こうした修復転用は教会遊休資産だけでなく、世俗的建築物の宮殿や工場にも及んでいた。

■近代産業遺産の修復
 市庁舎横のダックルシオ邸はローザ博物館として修復され、市のアーバンセンターが設けられていて様々な未来プロジェクトを展示していた。そのなかに磯崎新氏による新ボローニャ駅の設計図面を見たことは驚きであった。また、チェントロ・ストリコの北西部、ラーメ門の周辺では近代産業遺跡を活用した約10haの面的修復事業が進められていた。現代芸術のメッカを目指す「マンボ(Museo d’Arte Moderna di Bolonga)」と旧タバコ工場を転用した映画博物館を訪れたが、港湾地区だったこの地の歴史的記憶をアルド・ロッシ氏が基本計画のなかで如何に処理したのか、両館長のレクチャーから示唆深い情報をいただいた。

■歴史的規制と創造性
 厳しい歴史的規制が都市の創造戦略や開発事業に役立ち、革新的な環境すらもたらす事例を見せられたボローニャのチェントロ・ストリコであった。
 
ソルフェリーノ通りの類型的修復景観 ローザ美術館内のアーバンセンター
  

マンボと映画博物館を抱える旧港湾地区の修復

レーノ水路通りの映画博物館(旧タバコ工場)

 

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