松江水燈路 |
写真は、松江市で実施されている「水燈路」という光のイベントです。私が初めて市長にお会いしたときにいろんなやりたいことをお話しいただき、私から「光のマスタープランを作りましょう」と言うと、きちっと依頼してくれたという珍しい例です。
このマスタープランでは、道路照明や公園照明をどうするという内容ではなく、市民が夜の街に出て街にどう参加するか、それをどう作るかをプランしたものです。実験と実施のトライアルを繰り返しながら、理想的にはそれが祭りになることを目指しています。なぜ「祭り」なのかと言うと、どんな災難や経済的ダメージがあってもそこに住む人たちが「そこに住み続けたい」というモチベーションを崩さないシステムが「祭り」だろうと考えたからです。大それた発言ですが、自分が関わった仕事が祭りとなって続いていくことができれば、とても嬉しいことで、建築以上のスパンの長さで残る仕事になりうるんじゃないかと注目しています。
とは言え、3年目までは誰も知らないお祭りでした。それがようやく最近人が集まるようになり、市民による手づくり行灯など2ヶ月間の土日を使ってのお祭りになっています。「集客10万人」という数字も市の方から発表されています。
関係ないように思えるかもしれませんが、これはLEDの話と通じるところがあると思います。例えばLEDを売り込むときに、私はその寿命の長さを第一に挙げて欲しくないんですね。私も仕事場でLEDを使う理由として、その寿命を話そうとして、でも口から出さずに頑張っています。実はその丈夫さを理由に挙げるのは説明するのに楽なのですが、その理由でLEDの魅力が伝えられるのか。やはり、ユーザーが使ってみてその魅力を発見し、使い方の多様性を見つけていくことが、商品の魅力づくりにつながっていくのではないでしょうか。
ですからみなさんも、LEDを使う時に「これは寿命が長いんです」と言わないで頂きたい。私の独断ですが、寿命を訴えないことが、我われがクリエイターとしての創造的な価値をLEDに託せるかということにつながると思うんです。これもひとつの意思表示かなと感じています。
海外の人が「日本人は次に何を言うんだろう」と期待しているときに、我われはついついスタンダードなことを口にすることが多いのですが、これからはちょっとしたタイミングで自分の意志をしっかり伝えることができるようになればいいなと思っています。
以上で、私の話を終わります。ありがとうございました。
■経済第一主義を超えて
ところで今はアジアの仕事も増えてきています。海外で仕事をしていると、日本がいろんな意味で注目されているのが分かります。日本の中ではいまだに「経済第一」という考え方が主流なのですが、外へ出ると目を覚まされるというか、「経済より大事なものがある」という気概で仕事をしている人がたくさんいます。ですから我われも「経済が最優先ではない、自分たちが活動する理由」みたいなものを持たないといけないなと感じます。
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