司会(中村):
ではまず地元をよくご存知の長浜さんから議論の口火を切っていただきたいと思います。
長浜(パナソニック):
姉小路では灯りのことでウチの豊留が関わっておりますが、私はシミュレーションでまちづくりの合意形成を図るということでお手伝いさせていただいています。
ひとつ質問なんですが、一番最後に出た色彩システムについてうかがいます。私もコンピュータでシミュレーションをしながら景観の中で色彩をどうやって決めていくのかにしばしば悩んでいます。
ひとつは数値指標に落とすこともできますが、実際に数値指標(マンセル色標)を当てはめようとすると、光が当たっているいないで人間が認識できる色とは違ってしまうという問題が出てきます。つまりコンピュータの中に写真で取り込んだ画像というのは、光の当て方次第で違う色になってしまうのです。コンピュータ上ではそれぞれ違う色として解析してしまうのです。
色彩を地域のまとまりとして評価するのはいいのだけれども、実際に塗る色に関してはコンピュータが表示した色ではないと思うのです。その辺はどう処理されていくのかうかがいたいと思います。
二つ目の質問ですが、これから建てる家についてフォトモンタージュで斜めのパースで見ておられるのは異和感がありました。斜めのパースだと、近い面は大きい数値が出て遠いと小さい数値という分布になりますよね。本当は真四角に固定して、全体の面を見ればある壁一面の正しい分布が出るのではと思いました。これは質問と言うより感想ですが。
私もバーチャルリアリティというコンピュータの中で自由に歩けるシミュレーションの仕事を続けていますが、今年は高松で景観のガイドラインを作ることになりました。その中で、看板の色や大きさがマンセル数値を入れたら出てくるようにしたんですよ。ところが、やっぱりそれは観念としてのマンセルの色なのか、コンピュータの中で陰影が付いた結果の色なのか、そこの所にギャップがありまして、いろんな人たちが色を決めていく中で大きな障害があるということをみなさんに知って頂く必要があると考えています。
藤本先生のご報告は大きく参考になりました。
藤本:
私もこのソフトと出会ってまだ数カ月というところなので、今はどんな見方をしたらどんな風に使えるかを実験中といったところです。
確かにストリートビューで、どの視点を重要視するかは大事だと思います。しかし、人間はパースというか、風景としてしか見ないものなんです。もちろん真正面から見ることもありますが、どこをどう評価するかは、まだまだこれからのテーマかと思います。
ぜひこの分野で活躍されている方と意見交換して、使える内容に変えていけたらと思っていますのでよろしくお願い致します。
野口(精華大学):
私も「どの視点から見るか」ということを考えていました。やはり私は人間の目に見える視覚が大事だと思いますので、図面化する必要もないのかなとも思いました。
ただパースペクティブの付き方が人間の視点以上になってしまうと、問題です。そういった視点が重要かなと考えていますが。
長浜:
多分そこは風景として見るか、建物に付ける色彩として見るかになると思います。風景として見るなら、それこそひとつを切り離して見るのとは別の話です。
一つの家にどういう色をつけていくかについては、ひとつの面なのに奥と手前が違うという色の取り方では、間違った捉え方になってしまうのではないかと思います。
色彩システムについて
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