司会:
かなり専門的なお話になっていますが、肝心の住人である市古さんからの感想をうかがいたいと思います。
市古:
ウチの親父がつねづね言っていたのは「あまり目立たぬよう、でも目立つよう」ということです。その辺の悩みがありました。
表側と側面の壁では同系色でありながら少し変えてみるというやり方をしていましたが、町全体からするとやはり以前の壁は浮いた色だったと昔から感じていました。ただし、町全体が同じような色調を持つのではなく、多少違ってもいいのではないかとも思っています。
森田博子:
私の家もこの整備事業で直しましたが、後から考えたら反省材料はいっぱいあるなと、今日の報告を聞きながら思っていました。実は心の中では満足度はちょっと低いんです。
確かに市古さんがおっしゃるように「みんな一緒の色」ではすっきりしているように見えて個性が消えていくような気がするんです。その辺の加減は専門家の方も考えていただきたいと思います。
司会:
家を直されるとき、どこにこだわりがありましたか。
森田:
うーん、言い出したらきりがない(笑)。今それが反省材料で、次の段階までに自分の考えをまとめたいと思います。こういう改修はちょっとやそっとのお金でできることではないので、あまり軽々しく言いたくはないのです。でも経験を積むことはとてもいいことでした。これからも町並みを維持するために、古い家ですが頑張ってぼちぼちやっていきたいと思っています。ありがとうございました。
「みんな一緒」を求めている訳ではない
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