ハウスメーカーのつくる住まいの風景
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はじめに 今日のテーマについて

 

鳴海邦碩

 今日のテーマの「ハウスメーカーのつくる住まいの風景」は、大阪大学の小浦先生と積水ハウスの山中さんが去年からずっと勉強会で追っていたテーマです。そのことを知った私がJUDIで紹介して欲しいと頼んで、今日の開催にいたった次第です。

 実は私と小浦先生は、1995年の阪神・淡路大震災の後で10年間にわたり芦屋の景観がどう変化したかを調査いたしました。そのとき問題視されたのが、復興によって出来上がっていく新しい住宅が昔からの趣のある芦屋の町並みを壊しているのではないかということでした。それは新聞に書かれたり、身近な市民の声として聞くことも多く、当時はそういう新しい住宅を建てていたハウスメーカーの方々と議論したこともありました。

 実際、ハウスメーカーの方々に聞いてみると、「我われは真面目に家づくりに取り組んでいるんだから、町並みを壊すなんてことはないはずだ」ということでした。その時わかったのですが、フレファブ風の住宅は必ずしもハウスメーカーが建てたものではないということでした。町の工務店が手がけたプレハブ風の住宅も多く、問題だと認識されたのは、工業部材が町並みに与える影響でした。一般の目には「こういうのは全部ハウスメーカーが建ててる」と見えたようで、そうした誤解があったことも分かりました。

 いずれにせよ住宅は町並みを作っていくとても重要な要素です。今景観に関する関心が高まっている中で住宅が町並みの風景に貢献していることを、我われJUDIも常に議論しております。住宅が町並みづくりに寄与していくことにも大きな期待をしているわけです。

 我われの関心はそうした所にあったわけですが、小浦先生や山中さんたちがこういうことに関して真剣に議論をしていたことをうかがって、今日はその成果を紹介していただこうと考えた次第です。

 お二人のプロフィールを簡単に紹介しますと、山中秀美さんは1979年に積水ハウスに入社後、北摂三田ウッディタウン、関西文化学術研究都市光台、神戸リサーチパーク鹿の子台、阪南スカイタウン等の大規模住宅地開発に関わってこられました。1990年からは約十年間、関西地区における住宅都市整備公団(現都市再生機構)と大阪府との共同分譲事業においてまちなみ計画を担当されました。2006年からはプレハブ建築協会住宅部会環境推進分科会でまちなみWGの座長をされています。

 小浦久子先生は、現在大阪大学大学院准教授でございまして、大阪・関西の開発・都市計画に関わる様々な仕事をされておられます。最近は、まちなみや都市景観に関する研究をされており、具体的な地域において行政の支援活動といった分野に積極的に参加されておられます。昨年度はプレハブ住宅景観ステップアップ事業(NPO法人日本都市計画家協会)に参加して、景観の検討作業にも従事されていますが、これについても後で詳しいご紹介があろうかと思います。

 今日はこのお二方から話題提供いただき、後ほど質疑応答や議論を行いたいと思います。ではどうぞよろしくお願いいたします。

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