地域環境とすまいづくり |
|
すまいづくり(地域型住宅)とは、結局、まちを読んでそこの空間特性や文脈を知って、時間の変化へ対応するという当たり前の考え方で成り立つものです。これは、家づくりに携わる人全てがなすべきことですよね。そのときに、どういう風に住宅商品と地域をつなぐのかが課題のありどころだと思われます。家をメンテナンスフリーにするのではなく、すまいを育てる、時間を積層させるあり方を支援していくようなつくり方を商品として出せるかということも問われる課題だと思います。
| ||
|
例えば、震災の時も、復興の家づくりで、神戸では「海風・山風」ということは当たり前のことだから、誰もわざわざ言いませんでした。新しい家をつくるときは、今度はシステムキッチンにしたいとか、吹き抜けがいいといっぱい希望を語るものですが、これまで当たり前だったことは語りません。これまで良かったこと、どのように住んでいたのかを聞かないと、ふつうの人は語りません。だからこそ、どこに窓があったかとか、どんな風景が見えたか、家にいるとき何が好きだったかということを聞くことが大事だと思うんです。
| ||
|
やはり、クライアントのニーズに対応するというよりは、彼らが潜在的に大事にしていたこと、つまりしゃべらないことの中に家づくりの大事なものがあると思うのです。なじんだ住み方、なじんだ風景を発見していくことがつくり手にとって大事なことだと思います。
|
緑豊かな住宅地 |
これから人口が減って市街地が縮小していく中で、住宅とまちをどうつないでいくかを考えると、量を指標とする住宅供給から居住環境の指標による住宅供給が重要になってきます。量をお金に換えるのではなく、質をお金に換えていく発想が重要です。そういうまちが評価されるようになってほしい。そういう家の作り方が既成市街地の中ではとても大事になってくるでしょう。個人の満足(家族の満足)がまちの価値へとなっていくようにクライアントに働きかけていくこともシステムづくりと同時にとても大事なことだと思います。システムと同時に売り方、つくり方も含めて、新しい生産技術の担い手としてハウスメーカーにはとても大きな期待をしているところです。
ハウスメーカーの影響力は大きいですし、それが大きな流れになると、他の工務店さんも同じようなことをしていくでしょうから、町並みに対するメッセージ(既成市街地で家を作るということ)をハウスメーカーから発信していくことは大事だと思っているところです。
これで、私の話題提供を終わらせていただきます。ありがとうございました。