ハウスメーカーのつくる住まいの風景
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狭小敷地モデルをつくってほしい

 

鳴海邦碩(司会)

 では、そろそろ締めくくりたいと思います。

 前回、田端修先生に「和の都市デザインが可能か」というテーマでお話し頂きましたが、今回もそれに近い問題が現れてきたように思います。例えば、まとまってつくられ開発団地にはなかなか良い町並みだと評価できるものがあります。しかしながら、札幌、仙台、大阪でつくる町並みも同じで良いかどうかとなると必ずしもそうはいえないと思います。植栽や気候が違ってきますから、それぞれ地域の特徴が景観に現れてくる可能性があります。そのようななかで、町並みの基本となる建物が同じで良いかどうかということです。

 また、町なかの小さい敷地に建つ建物に問題が多いのは、今日の小浦先生の報告を見ても明らかです。例えば、京都のなちなかの敷地など間口が狭くて奥行きが深い。京都に限らず、全国の城下町の町家はたいていそういった形状の敷地に建っています。そういう所の建物が今後どうなっていけばいいのかというときに、例えば積水ハウスさんならこういう家を作りますという提案を見せて欲しい思います。

 今日お見せ頂いた京都のGORAKUは、普通の京都の町家の敷地とはちょっと違うのですね。もちろん、ああいう住宅はどんどん作って頂けたらいいのですが、もっと狭小な敷地にどんな建物が建てられるかは今は誰も明確なイメージをもっていないと思います。有名な建築家でさえ変な建物を作ってしまいます。それぐらい混沌としている状況の中で、積水ならこういう家を作りたいけどどうでしょうと提案して頂きたい。そういう狭小敷地の積水モデルがどんどん普及していくのも面白いんじゃないかと思っています。有名どころのハウスメーカーさんが、そういう住宅を競って造るのもひとつの可能性かなと考えています。

 今日はお聞きすることができませんでしたが、私としては積水ハウスの10年目標はどんなところにあるか知りたいと思っています。住宅の製造ばかりに行くのか、もっと地域づくりの方向になっていくのかということです。今後またこのような企画をしてお話を伺いたいと思っています。

 今日は、とても奥が深いお話が聞けました。日本のこれからのまちづくりや景観づくりにとても重要な役割を果たすことになるハウスメーカー住宅について、難しい課題についても率直にお話し頂き、どうもありがとうございました。これからも、いろいろ期待しておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

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