ボストンのレンタサイクルHUB体験記 |
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このシステムは、いわゆるパリのヴェリブ・タイプのレンタサイクルシステムを導入したものです。2011年7月28日から開始されていて、我われが行ったのは8月20日ですから、開始早々に試してみたわけです。ボストンの中心市街地で展開されています。自転車数は600、ステーション数は61あります。
これを使用するには会員にならなくてはいけなくて、年間会員とその場限りの会員の二つのタイプがあります。その場限りの会員にも1日タイプと3日タイプがあって、我われは当然1日タイプを選んで試してみました。会費は1日5ドルです。ちなみに3日タイプは12ドル、年間会員は85ドルとなっています。
37,38 ステーションの様子 |
最初に借りる時には、電話番号と郵便番号を聞いてきます。郵便番号はアメリカと日本では桁数が違いますからジップコードを入れろと言われるのは本当に迷惑なことですが、僕は適当に5桁の数字を入れたんですが、それでも全然OKでした。
登録して認証されると、暗証番号を印刷した紙が機械から出てきます。この紙には1、2、3の3つの数字を使った5桁の暗証番号が印刷されていて、自転車が収まっている駐輪場の機械の脇に印字されている数字を押すと自転車を取り出すことが出来るようになっています。
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たぶん、このシステムはなるべくステーションに自転車の在庫を置いておかなくてはならないことになっているのでしょう。あまり長い間乗られると、システムとして困ることになっているんじゃないかと思います。そういう理由で、長期間借りると高くなるというシステムが面白いなと思いました。
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それと、クレジットカードの情報によって、どの自転車が借りられているかを管理センターが認識できるようになっています。これは、間違って他人がレンタルした自転車に乗ってしまったりするトラブルを防ぐようになっているんです。実は長町さんの自転車がトラブルになって、高原さんが一生懸命管理センターに電話して交渉した結果、確かに長町さんのクレジットカードでその自転車を借りているということが管理センターが認識して、それでこういうシステムになっていることが分かったんです。
長町:
このトラブルは、現地在住の高原さんの分を私が払おうと思って、2人分を払おうとしたんですよ。その気持ちがあだになったという話です。
服部:
あっ、そうでした、思い出しました。クレジットカードは一つの自転車しか借りられないというシステムになっているんですね。だから2台借りてしまうと、管理センターが把握しきれなくなってしまうんですよ。だから、この時機械が返却したことを認めてくれなかったんです。だから、日本式に「あなたの分は私が払いましょう」なんてやり方をしてはいけない。もし、ボストンでレンタサイクルを利用しようと思われる方は、これを覚えておいてください。
このレンタサイクルの体験ひとつとっても、僕たちは随分勉強することができたというわけです。
また、この管理システムのためでしょうか、この返却時や取り出し時には情報混乱を避けるためでしょう、返却してから2分間は同じクレジットカードでレンタルをすることができないようになっています。
ちなみに現金では利用できないシステムです。ですから本当にクレジットカードのみで利用できるシステムになっていますから、クレジットカードを持てない人は乗るな、借りるなということになっているわけです。また、現金利用が出来ない理由の一つとしては、機械を壊して現金を盗ろうとする犯罪から守ろうとしているのでしょう。こういう公共の場所で現金が入っている機械を置いておくのは危険なんです。重機で壊そうとする、日本では考えられない犯罪がありますから。その点、日本人には使い勝手が少し悪いシステムのようにも思います。
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まず、自転車を駐輪場から出すために、機械から暗号が書かれたレシートのような紙が必要なんですが、忘れてしまいがちなんですよ。このレシートをすぐ取らないと、すぐ他の人が違う自転車を借りてしまいますから、その人が僕のレシートを持っていきそうになるんですよ。その人がちゃんと自転車を返してくれたらいいんですけど、もしその人が自転車を壊してしまうと僕の方に請求が来てしまうんです。だからちゃんと取らないと恐いことになってしまうというシステムでもありますね。
それと、自転車を返却する時にしっかりと駐輪機械に自転車を差し込まないと、システムが返却したと認識してくれないんです。
自転車を維持する機械はすぐ壊れそうなことも問題だと思いました。近い将来にメンテナンスの問題が出てくると思います。メイド・イン・カナダです。実はつい先頃、アメリカ人が書いた「世界が賞賛する日本の町の秘密」という本を翻訳したばかりなんですけれど、その中でママチャリが大絶賛されていました。世界に誇れる日本の宝は自転車で走れる町なんだという認識が頭にあったものですから、なんでカナダ製の機械なんだ、日本のを使えばいいじゃないかとつい思ってしまいます。本当、日本のママチャリじゃない自転車はよく壊れるそうなんですよ。
最後に指摘しておきたい課題は、自転車で町中を走行するのは、相当危険であることです。アメリカのドライバーにとって、自転車が町中を走っているのは慣れてないようで、我われも自転車に乗っているとよく怒られました。恐いから歩道を走っていると、おばちゃんなんかが「ファックユー」みたいなことを叫んで、「どかんかい、この日本人が」という感じ。だから、自転車が地球温暖化防止にもいいんだということを、もっと一般市民に周知させないといけないと思いましたね。
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ちなみにブロードウエイのホコテン化のコンサルティングは、コペンハーゲンでストロイエを研究していたヤンゲールです。日本でも、「スペース・ビートウィン・ビルディング」の翻訳書が出ています。彼がコンサルティングをしたということは、ヨーロッパの脱自動車のまちづくりがニューヨークやボストンには波及しつつあるのかなと思います。ヤンゲールはシアトルの都市デザインのコンサルティングをやっていますし、脱自動車の流れがアメリカにも徐々に上陸し始めたのを感じます。
ボストンのレンタサイクルに話を戻すと、4ヶ月で14万トリップを達成しました。我われもこの数字に6トリップぐらい貢献したことになります。
レンタサイクルは11月末から3月までは閉鎖されますが、3月からは新たに30ステーション、300台の自転車が追加される予定です。つまり、レンタサイクル・システムはうまく行っているということでしょう。将来的にはボストン市域外にも拡張する計画があるようです。隣のケンブリッジ市でもこのHUBシステムを導入しようと検討しているようです。
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こうした脱自動車の政策によって、都市の公共空間の豊かさのレベルを向上させていると言えると思います。その結果、ニューヨーク、ボストンとも都市の魅力が大幅に向上されていて、そのことはJUDIメンバーの私としては嬉しい結論です。都市デザインの勝利だと言えるんじゃないでしょうか!。…みなさんの反応が鈍い…しかし私としては「都市デザインの勝利」という言葉で、報告を終わりたいと思っています。
ご静聴ありがとうございました。