市民レベルの広場活用・まちの魅力発信活動
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駅前広場実施設計への市民の思い

 

 実は行政がこうした計画を最初から立てたわけじゃなく、行政と市民、商店街、商工会議所などが協議を重ね、いろんな思いを盛り込み6年かけてできたものなのです。市民のアイディアが設計にも工事にも今後の活用にも反映されているということです。

 それを5つのポイントで説明します。


■「姫路らしさ」を感じることができる駅前広場に

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自然石舗装による眺望軸の演出
 
 姫路らしさを素材にも反映させたいということで、サンクンガーデンには淡路島や小豆島の石を使いましたし、大手前通りの舗装にも自然の素材を使っています。

 この大手前通りの十二所前線(駅から300mほど北側を東西に走る幹線道路)の南は公共交通のみ、バスとタクシーだけが乗り入れられるトランジットモールになっています。幅50mという広さの通りでトランジットモールを取り入れたのは、多分日本では初めてじゃないかと思います。


■「ここが自分の生まれ育った街だ」と誇りが持てる駅前広場に

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 「誇りが持てる街」について、様々な形でずいぶんと議論を繰り返しました。最初は2007年に「市の素案」が提示されたんですが、それが交通機能を最優先したプランだったんです。西はバスが占領、東はタクシーと自家用車が常に走っているというプランが出された時、地元の地域団体、商業者の団体、議会の会派からも「そのプランではまずいだろう」という意見が相次いだのです。これが事の起こりでした。

 そういう声を受けて、スローソサエティ協会で、様々な市民意見や商業者の意見を反映できるよう話し合いの場づくりを行いました。

 2007年の3月24日がスタートで、ちょうど6年前になります。その後、対外的に行ったものだけでも148の勉強会、セミナー、ワークショップ、フォーラム、ヒアリングがあります。そうした声の反映の結果が今お話しした新しい駅前の姿ということになります。

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 市が公式に行ってきた北駅前広場整備推進会議が開催される一方、スローソサエティ協会が呼びかけた駅前広場活用の準備会あるいは連絡会が出来ました。こうした議論の中で市長が決断していく課題がたびたびありました。それで市長を囲んだ庁舎内のワークショップも行われました。当然議会内にも特別委員会が設置されていますので、情報公開と議論、そのフィードバックとうまくサイクルを作り、市民からその時々の課題を投げてもらってそれに応じて議論しオーソライズしていくというプロセスが3年ぐらい続きました。


■歩行者が歩きやすく使いやすいまちに

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 3つ目の観点として「歩行者が歩きやすく使いやすいまちに」ということがあります。

 左は工事着工前の都市計画図です。中央の大手通りは6車線、左にバスターミナル、右にタクシープールがあります。右が基本設計完了時の図面(2009年)です。この段階でかなり市民の意見、特に商業者から出された対案が活かされています。この時点で交通機能と、滞留空間、歩行者の空間が東西に分けられています。十二所前線から南は公共交通しか入ってこないというデザインになり、6車線が2車線プラスαになりました。

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 この図は駅前空間を用途別に色分けしたものであり、グレーが自動車空間、黄色が方向者空間、青が滞留空間を表しており、左がこれまで、右が計画中のものです。

 歩行者の空間はこれまでは単調な動線だったのが、あちらこちらの方面に動いていけるような動線になっています。2年前までの旧駅前は大半が自動車空間、残りを歩行者空間とその他で使われていましたが、新しい駅前だとそれが逆転して自動車空間が大幅に減り、歩行者空間が60%、自動車空間が30%となり、大きな変化を遂げています。


■駅前広場で自転車をどうするべきか

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 自転車については、意外と行政の議論の中では抜けていたことなんですけれど、市民や専門家から「自転車通行の考え方をどうするか」という議論が出ていました。それについても、「どこまで自転車を入れるのか」「広場に入れるのか」「JR線を挟んだ南北の通り抜けをどうするか」と議論を重ねていきました。

 その中から出てきた案が、自転車を邪魔者扱いするのではなく、中心部の賑わいや活力を生み出すものだと位置づけ、共存するという案です。サイクルポスト等を東西と大通りに付けて、そこで乗り降りしてもらうことにしました。ここら辺は田原先生が中心にいろいろ議論をしていただいています。


■みんなが使いやすい広場に

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 最後は広場を使う立場としての議論です。ハードの中に先にソフトの要素を折り込んだ使いやすい広場にしようと、広場のあり方について様々な意見を交わしました。

 芝生にしてはどうかという意見もありましたし、ステージが必要だとの意見も出ました。今回画期的だったのは、あらかじめいろんな用途に対応するためいろんな機能を広場に埋め込んでいることです。写真に示していますが、黄色いのは電源、赤色は給排水とあらかじめ仕込んでいるのです。ですから、公共的な空間で何かやろうとした時にも対応できるような埋込みができているのです。

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 左はサンクンガーデンと広場、右はサンクンガーデンの様子です。

 このような感じで計画が作られ、今は工事が始まっています。平成26年度末には完成する予定です。

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