駅前広場実施設計への市民の思い |
実は行政がこうした計画を最初から立てたわけじゃなく、行政と市民、商店街、商工会議所などが協議を重ね、いろんな思いを盛り込み6年かけてできたものなのです。市民のアイディアが設計にも工事にも今後の活用にも反映されているということです。
それを5つのポイントで説明します。
自然石舗装による眺望軸の演出 |
この大手前通りの十二所前線(駅から300mほど北側を東西に走る幹線道路)の南は公共交通のみ、バスとタクシーだけが乗り入れられるトランジットモールになっています。幅50mという広さの通りでトランジットモールを取り入れたのは、多分日本では初めてじゃないかと思います。
そういう声を受けて、スローソサエティ協会で、様々な市民意見や商業者の意見を反映できるよう話し合いの場づくりを行いました。
2007年の3月24日がスタートで、ちょうど6年前になります。その後、対外的に行ったものだけでも148の勉強会、セミナー、ワークショップ、フォーラム、ヒアリングがあります。そうした声の反映の結果が今お話しした新しい駅前の姿ということになります。
左は工事着工前の都市計画図です。中央の大手通りは6車線、左にバスターミナル、右にタクシープールがあります。右が基本設計完了時の図面(2009年)です。この段階でかなり市民の意見、特に商業者から出された対案が活かされています。この時点で交通機能と、滞留空間、歩行者の空間が東西に分けられています。十二所前線から南は公共交通しか入ってこないというデザインになり、6車線が2車線プラスαになりました。
歩行者の空間はこれまでは単調な動線だったのが、あちらこちらの方面に動いていけるような動線になっています。2年前までの旧駅前は大半が自動車空間、残りを歩行者空間とその他で使われていましたが、新しい駅前だとそれが逆転して自動車空間が大幅に減り、歩行者空間が60%、自動車空間が30%となり、大きな変化を遂げています。
その中から出てきた案が、自転車を邪魔者扱いするのではなく、中心部の賑わいや活力を生み出すものだと位置づけ、共存するという案です。サイクルポスト等を東西と大通りに付けて、そこで乗り降りしてもらうことにしました。ここら辺は田原先生が中心にいろいろ議論をしていただいています。
芝生にしてはどうかという意見もありましたし、ステージが必要だとの意見も出ました。今回画期的だったのは、あらかじめいろんな用途に対応するためいろんな機能を広場に埋め込んでいることです。写真に示していますが、黄色いのは電源、赤色は給排水とあらかじめ仕込んでいるのです。ですから、公共的な空間で何かやろうとした時にも対応できるような埋込みができているのです。
このような感じで計画が作られ、今は工事が始まっています。平成26年度末には完成する予定です。