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屋久島での試み

 私達は今、 屋久島をゼロ・エミッションの島にしようと言っています。

その島は世界遺産に指定されていまして、 亜熱帯の森があり、 標高1,000mを超える山々がこの小さな屋久島に40もあるんです。

そのなかでも一番高いのが標高2,000m近くありまして、 これは九州一高い山なんですが、 亜熱帯から亜寒帯までの植物相が見られます。

標高1,300メートルくらいのところに有名な縄文スギがありまして、 その山すそに14,000人くらいの人が住んでいます。

最近観光客がものすごく増えていろんな問題が起きているのですが、 そういう中で厳しい条件のもとに、 島の人達が「ゼロ・エミッション」の考えに沿って、 地域の資源を活用してゴミをさらに資源化していき、 そしてエネルギーを化石燃料に依存しない島、 すなわち風力、 太陽などの発電によって自給化しようと提案しています。

   

 屋久島は一ヵ月に35日雨が降ると言われているくらい雨の多いところで、 山頂では年間8,000ミリの雨量があります。

現在、 電気の80%を水力発電で、 残りの20%を火力発電で賄っています。

しかし最近電力需要が増えた事もあって、 火力発電所をもう一つつくらなければならないことから、 自然が汚染されるという危機感が生まれてきました。

これを太陽エネルギーなどを使って、 なんとかその建設が必要ないようにする。

さらに、 既存の火力発電所も、 将来はすべてクリーンエネルギーで代替できないか、 阻止しようということになりました。

   

 また島の約4000台のガソリン車を、 すべて電気自動車に代えていこうという壮大な計画もあります。

その電気は島で発電されたものを使い、 車体も地元の木材を使って、 現在島にある200台くらいのガソリン車のレンタカーを、 その電気自動車にしていくところから始めようと。

そして、 標高1,000mくらいのところにある屋久杉ランドへは、 電気自動車による本当の意味でのエコツアーが実現できればと考えています。

   

 そういう風にしていくことで、 屋久島を化石燃料を全く使わない島にすることができるわけです。

以上が、 屋久島をゼロ・エミッションのモデルにしようという計画の一つで、 その手がかりを述べてきました。

特に、 石油に依存しないで、 かつ自然と14,000人の島民が共生するという屋久島のモデルは、 世界で始めての例になるのではないかと思うのです。

そしてこの屋久島の経験を、 他の地域の中に活かして、 逆に新たなオープンスペースなんかに挑戦していくという事は十分に考えられることなのです。

   

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