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工場間の産業連鎖

 もともとゼロ・エミッションというのは産業界から出てきた考えでして、 ある人は「逆工場」と言っています。

その反対は「順工程」で、 自然界からとれる材料を製品にしてゆく工程をいいます。

大量生産は、 この順工程の過程で出てくる廃棄物を製品コストに吸収せずに、 自然界に排出することでその方式を可能にしてきたのですが、 日本列島が産業廃棄物を捨てる場所もなくなってきたために、 もはや「順工程」は成り立たなくなってきたのです。

そこで、 製造工程で自然界への排出物をゼロにするという厳しい条件を自ら課して考えられたのがこの「逆工程」すなわち「逆工場」なのです。

   

 つまり工場の排出パイプに注目して、 そこから排出されるものを再資源化できないかということです。

ビール工場から出てきた廃液、 この富栄養化した液から養殖漁業ができる、 またとうもろこしの実を取った後の芯からビールをつくる。

一番最後の排出される部分から資源が出てくる、 つまりAという工場からの廃棄物がBという工場の資源となり、 Bという工場の廃棄物がCという工場の資源となるのです。

そういう産業連鎖というものを考えていこうと。

   

 そうなりますと、 工場の立地やその配置なんかはこれまでとは違った考え方ができます。

このように地域の中で循環するプラントが存在することで、 地域に多様な工場が集まることにもなります。

   

 これまでの大量生産大量消費の時代では規制さえ突破すれば後は問題なかったのですが、 これから先はそんな事は許されないのです。

自然界に対して排出物をゼロにしていくには、 地域社会の果たす役割と責任が必ずあります。

一つの資源を使ったときにほとんど捨てるものがないというくらいに使い果たす、 という地域社会をつくらなければならないのです。

これは結局、 自然生態系に地域社会を近づけてゆくことになるのです。

「自然界にゴミはない」と言われるように、 自然界ではどのような生物もゴミはつくりません。

「人間とはゴミをつくる生物」と言っても過言ではありません。

ゴミを出さない、 ゴミを再資源化する。

その過程でさまざまな製品が生まれ、 様々なオープンスペースがつくられてゆく。

多彩な生態系が人間のまわりに創り出されて、 自然と共生できる地域社会が生まれてゆくと思うのです。

   

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