去年の暮れ、 JUDIニュースの方でも、 デザインコラボレーションという言葉がずいぶん出てきましたが、 建築家とアーバンデザイナー、 あるいは外溝をやる人とか照明をやる人、 色彩をやる人など、 デザインのそれぞれの専門分野の人たちが、 一緒に作業をするということが増えてきています。
従来と違った世界が出てきているかなという気がします。
特に公園では取っつきやすいのか割合多いようです。
これは、 どうなるのかなと思ってみています。
横浜の都市デザインを担当しているスタッフに「横浜ではワークショップをやらないの、 世田谷あたりは一生懸命やっているじゃない」と水を向けるのですが、 「何度かやってみたけど、 あんまり成果が良くないし、 疲れるだけだからやりたくない」と内輪で気安く言っているのかはっきり言う向きもありました。
つまり彼らがねらっている高品質のデザインを街の中にはめ込んでいくということとワークショップは必ずしも一致しないということです。
とはいえ、 ワークショップ型のデザインというか、 そういう機会とか、 そういう方向でのムーブメントは明らかに増えると思います。
これは以前ハルプリンのところにいた上山さんなどから聞いたのですが、 デザイナーはワークショップを喜ばないのだそうです。
マネージャーはワークショップをやりたいと言って取ってくる。
これはなぜかというと、 マネージャーはワークショップをやったことで事務所としての幅が広がるという点に注目していますし、 デザイナーはこんなめんどくさいものにつきあわされるのはかなわない、 というのがあるのだということです。
露骨に言えば落とし所が決まっているようなパフォーマンスをなんでやらなくてはいけないのかということがあって、 そんなごまかしみたいなことをやりたくないということを言っていました。
日本ではどうなるのでしょうか。
市民まかせでなく専門家のリードが重要と思いますが、 これもまだまだの感があります。
「日本の都市空間」というのが2番目で、 それから10年後ぐらいに3番目を作ろうとして、 仲間を集めて3番目の企画を立てだしたことがあったのです。
その時に、 1号や2号のような空間分類学やコンセプト集というものではもうダメだ、 やっぱりアーバンデザインはプロセスの部分がもっと表に出てくるようにして、 その辺の分析をもっとしていかなくてはならない。
そうしないとアーバンデザインが定着していかないのではないかという議論がありました。
みんな実務をやっていたわけですから、 実務の中で得たことを取り込もうとしたのですが、 途中で息切れしてしまって結局そのあと何回か酒飲んで終わりになってしまいました。
今度の『日本の都市環境デザイン』でもそういうのが必要だということが出まして、 それが実は第2部になったと思います。
そういう意味でよくまとめてもらったなと感謝しています。
今回の本に関して全般的な感想を言えば、 もっと内部議論があったほうがよかったのかもしれないという気がしています。
つまり担当にまかせっきりになってしまって、 担当が勝手に総括してしまったというところがあると思います。
話を元に戻してデザインプロセスについてですが、 デザインプロセスが大事なのは当然ですが、 どうもそちらだけが強調され、 どういう空間を作るのかという議論がだんだん希薄になってきたという気がします。
つまり、 何が最終的な獲得目標なのか、 あるいは獲得すべき空間はどういう空間なのかということについて、 余り議論しなくなってきているのではないか。
かつてアーバンデザインが議論され始めたとき、 もっと前で言うとタウンデザインでもいいのですが、 あの頃はもうちょっと何を獲得するのか、 例えば人間的なスケールを実現するとか、 快適性だとか安全性とか、 そういったものをどう獲得するのかといったような社会的な空間の価値みたいなものの議論があったと思います。
最近そういうものが薄くなったまま議論が進行しているのが気になっています。