その後、 4人の方々に参加していただき、 「シークエンスによる都市環境の演出とデザイン」という題で、 討論を進めていこうと思います。
シークエンスは、 環境デザインをやっている者にとっては非常に面白いテーマです。
私達は普段から動くことによって空間を認知している訳です。
しかし表現する手段としては断面図のようなスタティックなものしかありません。
つくろうとした環境、 描かれた環境と、 実際に知覚された環境とがかなり違ったものになっているということがよくあります。
実際の仕事や研究の中でその様な体験をされてきたと思います。
今日は「動く知覚」というものを全面に出して、 お話しをしていただきたいと思います。
環境行動学だとか、 この様な分野がありますが、 考えてみるとこれらは非常にスタティックなものの見方をしています。
人間が動き出すと五感が全部働いてしまいますので、 単に視覚だけではなくて、 歩いている床のデコボコだとか、 そういう事も連続して知覚してしまいます。
最近読んだ本の中に、 人間は自分の回りにバリアを張っていて、 どんな人ごみでもするりと抜けることができて、 絶対にぶつからないということが書いてありました。
つまりお互いに磁場のようなものがあって、 近づきすぎると反発しあうというようなことを、 瞬間的に行っているというのです。
だからむやみにぶつかったりしないのです。
私達が環境をつくっていく時に、 図面だとか、 コンピューターを用いたビジュアル性に富んだ方法等を駆使するわけですが、 実際にできあがった時に、 はじめてシークエンスとしての環境の場と対決します。
つまりそのシークエンスを考えてどうやってデザインするか、 それが本当に使えるものなのかについて、 後でデザインの先生方にも加わっていただいて検証していただこうと思います。
それではさっそく材野先生にお話しをしていただきます。