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デリーにて

庶民の街

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   デリーといえばすぐに思い浮かべるのがチャンドニー・チョウクですが、 ここは何のへんてつもない普通の街です(図35)。

コンノートプレイスとニューデリーの中間あたりにある、 ガイドブックなどではまずとりあげない街です。

デリーの非常にポピュラーな街路風景といえます。

しかしこの道のすぐ横道に入ると全くの庶民の生活街区があります(図36)。

決して低いカーストの人だけではなく、 いわゆる普通のレベルのカーストの人もいます。

   道路に面したところでおもしろい商売の仕方です(図37)。

インド人の商売というのは露店で立って売るやり方が多いのですが、 このように壁に埋め込んである装置を取り出して売るやり方もあります。

   インドの住まいと商業の典型だと思いますが、 真ん中のところがちょうど階段になっています(図38)。

そこから上に行くとテラスがあり、 住居となっています。

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インドのゴミ事情

   デリーが典型的なのですが、 インドの都市ではゴミがでたらそのゴミを家の前に出します。

家の前に出したものをコミュニティのある一角に寄せ集めておくのです(図39)。

   しばらく置いているうちに動物や人間が食べられるものは食べます。

またビニール関係はビニールを全て集めていくカーストがいるので、 ゴミが路上でかなりダイエットされるのです。

そのダイエットされたゴミは地区のゴミ収集所のようなところに集められます。

画像39    またここでもゴミから何かを拾っていく人がいるのです。

2段階くらいゴミが再生利用されてゆきます。

非常におもしろい。

   と私が感心していたら2〜3日後のデリーの新聞に「道路にゴミを置いておくのは衛生上わるい」や「景観を害する」という論調がありました。

記事にはゴミ箱を置いて回収するという画期的なシステムを研究しているということが出ていました。

あまり画期的とは思えないのですが。

   インドの下水はあまり完備していません。

そのドロを掃除されているところです(図40)。

掃除して取り出したドロはやわらかいので、 外に出しておけば1日たつとからからに乾きます。

それを処分します。

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   公衆トイレもあるのですが、 その前はゴミ置き場になっています(図41)。

多くのゴミ置き場には犬や豚などいろんな動物がいまして、 それに食べ飽きると寝てしまいます。

インドの犬はなかなか幸せな生活をしています。

廃墟か、 工事中か

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   かの有名なチャンドニー・チョウクです。

だいぶ車と人とが分離してきましたが、 やはりまだ人が道路を歩いているのを見かけます(図42)。

本や雑誌などでチャンドニー・チョウクの素晴らしさを予想して行ったのですが、 いま非常にすさんだ状態になっております。

   階の上の方は人が住んでいないような状態ですが、 これは人が住まなくなったのか、 上の方を増築する途中でやめて住んでいないのかはわかりません(図43)。

   インドの建物では2階から上がこのように工事中の状態になっているものがあります。

人に聞いてみると「いやこれから建てるんだ」という。

とにかく建物が完成するまでにも、 5年10年かけるのは平気です。

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   チャンドニー・チョウクの中にも路地型の商店街が続いておりまして、 ちょうどハッピーニューイヤーの大売出しをしていました(図44)。

   街並みを見ても、 カンバン類をとりのぞいて修景してゆけば、 ベランダも含めて価値のある建物がけっこうあります(図45)。

   後ろを見るとそれなりに残ってはいるのです。

一部増築したりしていますが、 カンバン類をとってきれいにお化粧すれば、 そこそこいいのが残っています。

しかしそのようにしているところは一軒もありません(図46)。

画像47    チャンドニ通りの起点となる正面には通称レッドフォートというお城がありますが、 その門前を下った突き当たりです(図47)。

このあたりはコリドールがずっとつながっていて、 その上ではテラスのレベルで歩いて行き来できるようになっています。

その上に住宅があります。

これはデリーだけではなく、 多くのところで見られる建築スタイルです。

公園に集う 

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   インドの公園にはガーデンとパークがありますが、 ガーデンは夕方になって時間が来ると閉じられ、 また翌朝に開きます。

中の管理もしっかりしていて使用規則がかなり厳格になっています。

ところが実際に利用されている方は浮浪者です。

   一方ここはパークです。

インドのパークほど人口密度の高いところはなくて、 利用者も決して浮浪者だけではありません(図48)。

浮浪者のかたも多いのですが、 時間のたっぷりある社会ですから、 非常に多くの多様な人によって利用されています。

   自転車の物売りです(図49)。

都市計画と実際の生活

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   まさにデリーの中心部といってもいいコンノートプレイスです。

イギリス人の都市計画家が円定規で図面を書いたような地区です。

観光写真のようなコンノートプレイスです(図50)。

これもパッと見はいいのですが、 中にはいっていくと日本人の感覚でいう立派な商店街では決してありません。

   横から見たコリドールです(図51)。

   その円のかなり中心のところでも、 ひとつ裏にはいるとやはり上の階層は完全に住宅です(図52)。

コンノートプレイスでもよく歩いてみると、 こうなっています。

裏などに入ってみるとアパートがあり、 路上の一角には喫茶店もあります。

コンノートプレイスにもこういう生活があります(図53)。

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   すぐ横手にいままでとは違う庶民型の商店街が広がっていまして、 そこにいきますと路地があります。

1階が店舗で2階が住宅ということは変わらないのですが、 空間の質ががらっと変わります(図54)。

   なかなか親しみのある商店街で、 大きい通りに対して串状に店舗が並んでいます。

これがひとつの店舗の形式となっています(図55)。

手前のほうはオープンカフェで、 中のほとんどは衣料関係です。

インドのスラム

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   全くのスラム街もあります(図56)。

スラムとはいえ、 ものすごく表情が明るい。

子供たちもいきいきとしています。

スラムにいることに対する暗さは全くありません。

   横のへこんだところにベッドがありまして、 ここに住んでいる人がいるわけですが、 実はここは公衆トイレです。

(図57)。

台所みたいなところもあって歩行者に見られながら食事も作っています。

   歌うようなたたき売りです(図58)。

画像59    近代的な街の廃墟のようですが、 よく見ると人が住んでいます(図59)。

インドでは廃墟というものがほとんど存在しません。

どこでも人が住んでいます。

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