1925年にインド政府が作成したジャイプルのかなり詳細な住宅地図があり、 それは建物の一戸一戸がわかるような地図ですが、 先生はその地図と最新の現地調査図を照らし合わせてコンピュータで合成するという作業をしておられます。
それによるとジャイプルは全体として7つの街区に分かれています。
立派な道路も通っていて、 ひとつひとつの開発が完成しておりますので、 一度ためしに真ん中あたりを東西に横切るように歩きました。
すると東端の方に来ると格子状の街並みも崩れてきまして、 そのあたりがイスラムの街になってきているのです。
イスラムの人が住み出すと街はイスラムぽく迷路状になってきます。
物販店ではなく何かつくっていることが多いのですが、 これだけの都市にもかかわらずいわゆる住宅街というのがありません。
これには驚きました。
中庭式のハヴェリーなど実にさまざまな形式のものがありますが、 基本は変わっていません。
そういう意味での職住一致はジャイプルの現在にも見られますし、 以前からそういうかたちで都市がつくられてきました。
これも一気にできたのではなく、 ものすごく長い時間をかけてできてきたのです。
ハヴェリーというのをひとつの都市装置とすれば、 それはどんどんつくられてきました。
進めてきたディベロッパーも存在しました。
そこに多くの人が入ってきたのです。
このような街のでき方というのは非常におもしろい。
生活を営みながら住む。
そういう都市の形態というものに都心居住の原点を見た思いがします。
幅3メートルで奥行きが4メートル。
店員はせいぜい1人か2人で、 自分が主人で家族が手伝うといった規模です。
このような小ささが逆に言うと店舗の集積性を支えているのではという気がします。
もしこれがそこそこ大きくて従業員を何人もおくような経営であれば、 あそこまで店舗は張りつきません。
非常に効率は悪いのですが、 ある意味で職を分散しているともいえます。
商売の効率や合理性で考えるとジャイプルは非常に生産性の悪いところですが、 生活費は安いので家族が生活できるだけの収入さえあればいいのです。
あそこまで小さなビジネスなら、 かえって人々の失業をまねきませんし、 仕事をつくっているという意味でおもしろいのではないでしょうか。
評価しえないものを過去の遺物とする一方的な視点ではなくて、 私はもう一度そういうものを高揚させたい。
このあたりについてこれから考えていく必要があると思います。
人と車とリクシャー。
あれだけのものが混在しているということ、 それから動物がひとつの路上生活者であることです。
インドの動物は粗食でしてエサをまとめてもらうということはなく、 街の人と動物が共同で生きています。
それ以上増えないのは、 増えると死んでいくからでしょう。
バランスよく生かされています。
フンの問題は残りますが。
彼らは想像以上にものを使いませんし、 ものを大事にします。
ものを捨てません。
ゴミの少ない社会で、 必要なだけ飲んだり食べたりしています。
貧しいということよりも、 そういう生き方について考えさせられます。
もちろん商店街のなかのお店としての商売もありますが、 それの倍くらいは道で商売しています。
一番多い商売は詐欺師なんです、 とにかく詐欺師が多くて困りますが。
これだけ路上にバラエティ豊かな商売が存在する国もないだろうと思うくらいです。
それくらいインドの道というのは多様な意味あいを持っています。
旅を終えて
都市のイスラム化
京都大学の布野先生が『日刊建設工業』に「ネパールインド紀行」というインドの都市の実態調査載せられていましたので、 さっそく帰ってからお会いし、 ジャイプルの話をお聞きしました。職住一致とハヴェリー
もう一つには、 どこを歩いていても100パーセントお店なんです。小ささの経済性
もう一つの驚きはお店の小ささです。路上の住人
インドの街路には考えさせられるものがありました。ゴミと生きる
ゴミのリサイクルですが、 ゴミの中で使えるものはほとんどなくなってゆきます。道という絆
道に生きるということでいえば、 道は商売のひとつの絆なんです。
このページへのご意見は前田裕資へ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai