最近、 景観や環境デザインの世界ではコンテキスト分析が多数行なわれていますが、 今日はそれも含め、 どう考えていけばいいのかについて私なりにお話ししたいと思います。
まず、 景観テキスト研究の最近の状況について紹介しますが、 今日は若い方々も多数参加されていますので、 「テキストとコンテキスト」について、 少し解説したいと思います。
「テキスト」とは、 テキスタイルとかテクスチャーという言葉と同じ語源を持っており、 「織られたもの」という意味です。 糸を織ったものがtextileであり、 言葉で織ったものが文章であるという意味で、 テキストとは、 織って作られた織物や文章というわけです。
「コンテキスト」の「コン」は、 「共に」という意味で、 「共に織りなす」とか「組み合わせる」という意味合いを持ちます。 それ以外にも、 文脈とか脈絡という意味にもとらえられます。
都市環境デザインと
パブリック・メッセージ大阪大学
鳴海邦碩
1 景観テキストの研究
1)テキストとコンテキスト
今日は、 セミナーのテーマを「都市環境デザインとパブリック・メッセージ」としていますが、 私は環境デザインとは、 メッセージを発することではないかと考えています。
今あげたのは分析の1つの例ですが、 こういう風に見ていくと今の大阪の特徴もよく見えてきます。
かって、 大阪の名所として認識されていた景観が今とどう変わっているかを比較しながら、 大阪の景観的特徴を考えてみようと研究してみました。
こういう面白いテキストを発見すると、 北原先生がおっしゃったように景観や空間について教養的に楽しめるわけです。
*文化としての景観、 教養としての景観研究があることは、 社会的に望ましいことである。
これは、 テキストを解読するだけでなくて、 自分がいいと思った景観をテキストに作り上げることがデザイナーの仕事であり、 「読む」より「詠む」能力が必要なのではないかという観点からの発言です。 表現したりデザインすることと、 できあがったものを解読するという二つの能力がデザイナーとして必要だと思います。
また、 文化としての景観研究、 教養としての景観研究があることは、 社会的にも面白く望ましいことであって、 単に学会での論文審査に通るか通らないかにあまり執着しないで、 楽しい研究をしたらどうかという趣旨も含めて発言させてもらいました。
では、 テキストを「読む」こととテキストに仕上げるという2つのことを、 どういう関係でとらえたらいいかについてこれからお話ししていこうと思います。
4)景観のテキスト化
以上のようなことを1996年の建築学会で議論したんですが、 その中で私は以下のような発言をしました。
*テキストを「読む」だけではなく、 景観をテキスト化できる「詠む」能力が必要である。 →〈表現する、 デザインする〉
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