このとき、 設計にあたった象設計集団の若い連中は、 瓦の製造の勉強に淡路に泊まり込みました。
写真27、 28は長谷川逸子さんとの仕事。 屋根に瓦を使わないのだから、 下のせせらぎの川底に使ったものです。 この時も長谷川さんのところの若い連中が淡路に来て、 1週間、 設計図を書かずに土をいじっていました。 長谷川さんが心配して図面ができたかなんて電話をしてました。 まあ、 できた瓦のせせらぎは気に入っていました。
この時も元請けのゼネコンは嫌がりました。 瓦のせせらぎをできる職人がいないと言うので、 施主や設計者たちで瓦を並べて仕上げました。
できた後に訪ねると、 管理人のおばさんに「掃除はどうするんですか」と詰め寄られました。 大変ですよね。 でも、 その後、 3年ぐらいしてまた行くと、 結構愛着を持ってくれていました。
ところで、 小端立てなんてその気になれば小学生にでもできます。 だから良く職人さんと喧嘩になります。 設計図もありませんから怒って帰ってしまう人もいますが、 やっている内に気に入って、 「明日は小学生の息子を連れてきて一緒にやろう」なんて言ってくれる職人もいます。
淡路のかんぽの宿のフロントの壁です(写真32)。 これも簡単ですね。 あっという間に出来てしまう。 簡単すぎてお金がもらいにくいです。 人工にするとどのくらいですか。 1人工だいたい1万か2万なんですが、 山田さんはいくらですか、 と聞くので、 「これはアートだ」と…。
六角鬼丈さんの富山県・立山まんだら遊苑の工事中の写真です(写真33、34)。 池のところに瓦をしいたのですが、 県の役人が図面はないのかというので、 「出来たら上から写真を撮ればそれが図面だ」と言って笑いました。 血の池地獄に瓦の小端立てを並べたのですが、 やはりハイヒールで来た人が転ばないかと心配されました。 「こんなところにハイヒールで来るのがおかしい。 こけたらそれがほんとの血の池地獄だ」と言いますと、 これにはさすがに六角さんところの若い人も顔色を変えて「山田さん、 それはまずいよ」と言われてしまいました。
いろいろお見せしましたが、 こういうエエカゲンなのは、 これ以上悪くならないから良いのです。
ところで、 いまをときめく世界的建築家の中で、 瓦を大量に使ってくれないのは磯崎さんと安藤さんだけだと冗談を本気で言ったら、 磯崎さんが大分のコンベンションセンター(ビーコンプラザ)に使ってくれました。 約70002です。 1つの建物の屋根では日本一でしょう。 屋根に瓦を敷き詰めたのですが、 少々アップにしても見えません(写真35)。 乾式工法でなかなか厳しい現場でした。
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