立派なホテルですね(写真13)。 こんなところに若い女の子がキャーキャー騒いで泊まっている時代じゃないだろうなんて、 言いたくなりますが、 タダならやっぱり泊まりたいですね。 でも三日三晩は遠慮します。 それより見てもらいたいのは、 手前に見える三角形の土の山です。 この質感。
横浜にいって見たものでは、 例えば船やハシケも奇麗でした。 そういう物を都市計画がなくしてしまうんです。
ドックも保存していますね。 みんなで“よいしょ”していますが、 いやらしいですね。 近くで見ると汚い石です。 でも上の建物よりは長持ちしそうです(写真14)。
倉敷も浦辺さんがおられた頃は良かったですね(写真15)。 このアップを見てください(写真16)。 いい瓦です。 これが本物の瓦です。 じっと見てほしいんです。 ほんとの手づくり、 こういうものを造れる手工業を考えないと駄目です。
ただ、 こういう話をすると、 すぐアートに走っちゃう人がいます。 「アートは後だ」と言ってやるんですが、 すぐ、 アートして三越で数百万円で売ろうと考えてしまうんです。
佐賀とか福岡とか、 いろいろ写真を見せていますが、 いくら瓦を使っても、 工業化された瓦だと素材感の軽いペロットした屋根を見てほしいんです(写真18)。 それと木がないと駄目。 中・高層の集合住宅なんて20年したら廃墟ですね。
一方、 昔の瓦も見てほしい。 アップ。 これが本物の瓦です(写真19)。
いまじゃ、 こういう瓦を葺ける職人がだんだんいなくなっています。 瓦を葺ける職人を育てないと伝統もへったくれもないのに。
写真20は石州の瓦。 赤いキマチ瓦です。 寄ってみると汚いけれど、 萓葺きを残しながら瓦を葺いたのが少しはエライ。 この建物の壁。 光と陰で奇麗な壁。 ツタがはっています(写真21)。
こういうのを見ていると、 効率とか気密性とか言っているから、 ハウスメーカーと同じ土俵にのっちゃって、 負けてしまうと言いたくなります。 1年中良くなくても良いんです。 2、 3日でもこういう風景があるといい。 こういうことができる人を育てないといけません。
これからは壊れかけた家を見てもらいます(写真22)。 こういう壊れた家を壊しながらデザインサーベイせよと言っているんですが、 現実にはブルドーザーであっという間に壊してしまいます。 壁を見てください。 この素材感。 45度の光。 土の写真。 まるで芸術ですね。 切り取って額縁に入れたら芸術ですね(写真23)。
こういう家の瓦を潰して捨ててしまわないで、 取っておいて小端立てに使うとほんとに良い。
写真家もこういう日本の伝統的な暮らしのあった廃墟を撮ってほしいものです。
あとタマネギ小屋とかタバコの乾燥小屋も良い。 農民の舞台になっていたところ。 こういうところの空間や素材感を勉強して欲しいものです(写真24)
写真25は土管です。 これも良いですね。
(以降、 千里中央や淡路の土採取場、 壊れかけの納屋の瓦、 昔ながらの瓦を作っている様子、 道後温泉、 などなどを紹介されましたが、 省略します。 )
瓦のある風景
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