前に
目次へ
1月に都市計画学会の震災復興報告会をしたときにも、 いろんな意見が出ましたが、 それを私なりに整理して次のステップに展開しようと考えています。
簡単にその意見を集約すると、 都市計画という方法と現場にはいろんなギャップがあり、 都市計画をそのとおり現場に持っていっても動かない、 あるいは動いてもギクシャクした感じが生まれてしまうということです。
都市計画手法は「方法」ですから、 現場に応じて使いこなせばいいのですが、 震災復興では検討する時間が短いために、 ギクシャクが一層分かりやすく出てしまったことが指摘されました。 そのことを今後いろいろな面から検証していって、 方法自体に問題がないかどうかを考えていこうと思案中です。
景観の話にしても同じようなことがあるのです。 例えば、 我々のプロとしての技法が地域の人の暮らしの中になじんでいくには、 時間が相当かかりそうだとか。 人間の顔の表情でその人の喜怒哀楽が分かるように、 都市の景色を見るとそのなじみ方がすぐ分かってしまいます。 まだ途中だとか、 だんだんなじんできたとか。 そういう微妙なことがデザインだけでできるのか、 それとも時間が経つのを待つしかないのか、 暮らしている人に期待するしかないのかが、 はっきり分からないのが正直なところで、 これも考えなければいけない問題です。
ともかく景観は人の顔と同じで、 ぱっと見ると分かってしまうという特徴があります。 ですから景観がそれを見る者にあるメッセージを発するようになると、 復興を実感できるのではないかと思っています。 先ほどの西さんのお話のように、 阪神間の特徴である陰影や石垣がコンクリートに変わっていくのは残念なことですが、 次にどの様に展開できるかについて考えられないでしょうか。 「泣いている顔」を笑った顔にするのは難しいことですが、 計画手法やデザインだけでなく、 現場とのギャップをどう埋めていくかについては、 今回の議論も材料として今後も議論したいと思います。 我々がそこまで責任を持つ必要はないかもしれませんが、 議論しているとどうしてもそこに行き着いてしまうのです。
では今日はこれで終わります。 どうもありがとうございました。