海外都市の密集市街地に学ぶ
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はじめに

兵庫県庁

難波健

改行マーク兵庫県の難波です。 今日は97年8月のセミナーに続き、 密集市街地をテーマに進めてまいりたいと思います。

昨年のテーマ
「密集市街地の居住空間/安全で安心な都市づくりを目指して」

改行マーク昨年の8月31日に神戸で開催したセミナーの詳細は、 JUDIのホームページにまとめられておりますので、 ご覧いただきたいと思います。

改行マーク内容を少しご紹介いたしますと、 パスコの田中みさ子さんは「一人暮らしの住まいの現状と課題」というテーマで、 都市の密集市街地に住むのは、 どのような人なのかということについて、 都市問題経営研究所の中山邦彦さんは「一人暮らしの若者の街の魅力」というテーマで阪急石橋駅周辺の密集市街地を事例として、 その雑踏と成立の背景などについて報告くださいました。

改行マークまた、 アーバンプランニングの北條蓮英さんは「長屋の持つ共有空間と居住性」というテーマで、 長屋のでき方とその実体をお話くださいました。

改行マークコメンテーターとしては、 住宅・都市整備公団関西支社の千葉桂司さんが、 都市におけるコーポラティブ住宅を通して密集市街地についてコメントくださいました。

改行マークただ前回は、 密集市街地をどうすればいいのかまで突っ込めておらず、 今後の課題となっております。

最近の密集市街地に関する論点

 私は現在、 密集市街地を行政テーマとして扱っています。 昨年の密集新法の施行を背景に、 建設省や市町の方々と密集市街地をどうすれば解消できるのかといった議論をするのですが、 最近は、 効果的な対策を講じること、 つまり経済効率の高い事業展開ということが問題になっています。

改行マークこれまでにも、 密集市街地対策を色々やってきたのだが、 一向に成果が上がらない。 このまま、 今のやり方を進めても、 税金の無駄遣いではないのかといった議論がされています。 事業効果の評価は、 ほとんどの公共事業を対象として行っていくことになっていますが、 密集事業はとりわけ税金と事業と成果という流れが見えにくいと言われています。

今年のテーマ設定

 行政の現場ではそういった議論があるわけですが、 今日は、 その対策を講じる議論以前にたち戻って、 密集市街地の認識を深め、 改善とは何なのかを考えていこうと思います。 またJUDIらしく、 都市環境デザインという面からもアプローチしたいと考え、 テーマを「海外都市の密集市街地から学ぶ」と設定しました。

改行マーク一緒に企画しました小浦先生との議論の中で、 地区ごとに異なる成立過程、 実態を持つ密集市街地を一律に見ないで、 ちゃんと地区の個性に光を当てて見ていくというトレーニングも重要な作業であるという話がありました。 そこで、 日本で成果のあがらない密集市街地対策を海外ではどのようにしているのか、 外国には密集市街地はないのかというような話に展開していこうという主旨です。

改行マークもちろん海外には日本よりもひどい密集市街地がたくさんありますし、 放置された地区も、 対策が講じられた地区も数多くあり、 検討事例には事欠きません。 到達点を「日本の密集市街地対策」に置いて、 海外の密集市街地の成立の背景とか、 都市での役割、 問題点、 対策を語っていただこうということで企画しました。

改行マーク発表していただくのは、 大阪大学大学院にインドネシアから留学されておられますエバウニ・エリサさんと、 一緒に企画しました大阪大学の小浦先生、 それからセミナー委員長の大阪大学の鳴海先生です。 コメンテータは、 環境開発研究所の有光さんにお願いしております。

改行マークでは始めたいと思います。

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