日本を含むアジアの伝統的な集落や市街地は、 みんな木造で作られています。 今日は、 いろいろと本を見ていて目にとまった市街地の例を紹介したいと思います。
まず密集市街地を大きく分けますと
そのなかでスラムですが、 俗に「環境が悪い」と言われていますが、 実はスラムはそういう実体的概念(substantial concept)ではなく、 関係の概念(relational concept)なのです。
ある国の中で、 それ以外の地域と比べて非常に悪い環境にあるところがスラムと呼ばれています。 言い換えればそれ以外の地域と補集合的関係にあると言うことですから、 例えばアメリカのスラムは、 日本人の目で見ると物理的にはけっこう良い市街地なのです。 反対に、 アメリカから日本に来たプランナーは、 長屋を見て「あれはスラムだ。 それにしては、 みんなハッピーに暮らしているのはどういうことか」と疑問を持つようです。
いろんなスラム研究がありますが、 ラテンアメリカのスラム、 アメリカ合衆国のスラム、 アジアのスラムのうち、 ある研究者によればアジアのスラムは「希望のスラム(slum of hope)」だそうです。 環境は悪いけれども、 みんなそこで生き生きと暮らしており、 頑張ればそこから抜け出して大学にも行けるし、 いい職も見つかるといった側面を捉えたものです。
ゲットーと呼ばれたものは、 ヨーロッパでユダヤ人を強制収容した居住区です。 壁を築いて外からの侵入を断ち、 内部は自治的な共同体となっています。 歴史は古く、 1179年にラテラノ公会議でキリスト教徒とユダヤ教徒を分離するために設置が決められたのですが、 初めて作られたのは1516年のベネチアで、 それ以降各地に作られました。 19世紀には無くなったと言われていますが、 東欧の一部には現在もいくつか残っているようです。 かつてアンネ・フランクが隠れたのもゲットーでした。
密集市街地の分類
バラック市街地
急成長市街地
スラムと不法占拠地
ゲットー
集落ないし町
伝統的市街地ないし集落
に分けられるのではないかと思います。
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