海外都市の密集市街地に学ぶ
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いわゆるスラム

画像nao004 改行マーク図1はスラムの典型的な写真です。 香港の九龍に広がる不法占拠地域(スクウォーター)です。 スクウォーターとは、 公共用地を勝手に占拠して住まうことです。 水道も何もない所ですが、 こういう所に人が住み出すと、 人が死なないよう公共が水を供給しなくてはならなくなります。 今はこういう問題を各国が抱えており、 特に今は中国がスゴクなっています。 盲流人口と呼ばれる何百万人の人々が大都市に集まっていることが問題となっています。

(出典:Alfred Schinz, "Cities in China", Gebru¨der Borntraeger Berlin・Stuttdart, 1989)

画像nao005 改行マーク図2はブラジル・リオのファベーラ(ポルトガル語でスラムの意)です。 これは、 山の斜面が全て不法占拠で覆われています。 遠目で見るときれいなのですが、 中へはいると大変なところです。 50歳以上の方なら「黒いオルフェ」という古い映画を覚えておられると思いますが、 オルフェが住んでいたのはこういうところです。 また、 リオのカーニバルを支えるエネルギーもここから生まれてきます。

(出典:Edited by Edwin Taylor,"Brazil",Houghton Mifflin, 1997)

画像nao006 改行マーク図3は川岸を占拠したファベーラです。

(出典:Edited by Edwin Taylor,"Brazil",Houghton Mifflin, 1997)

画像nao007 改行マーク図4はソウルのスラムです。 朝鮮戦争の時、 北から逃げてきた人達が住み着きました。 ソウルの山はこれでほとんど埋まっていました。 釜山の斜面地も同様です。 戦争で追われた人達が自ら作った密集市街地です。 1970年代からは全面的な再開発が始まり、 今では高層マンション化しつつあります。

(出典:Yang, Yoon Jae,"Forms of Low-income Family Housing", Youl Hwa Dang Publisher, 1991

画像nao008 改行マーク今まで見たような密集市街地は、 つい最近まで日本にもたくさんありました。 これは、 戦争直前に大阪市が行った不良住宅地調査の写真です。 ただ、  図5、 6は不法占拠ではなく、 ちゃんと地主から借りていました。 最初は長屋建住宅だったものが、 どんどん変容していったのだと思われます。 非常に狭い路地を挟んで建物が並んでいたことが分かります。 先ほどのファベーラやソウルの斜面地密集住宅地と比べると、 これは結構環境が整っていると思います。 今でも地区によっては地割りが残っていますので、 照らし合わせると大体分かります。

(出典:『本市に於ける不良住宅地区図集』大阪市社会部、 1938)

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