以上が、 ケーススタディ的に見たものです。
次に、 今までお話ししてきたような自己生成的な空間、 例えば非整形的な空間というのは、 どういう街にあり、 どういう街にないのかということを見ていきたいと思います。
左はチェンマイの郊外の、 標高1,000m近い山の中にあるミャオ族の集落の一つです。 ご覧のように少し観光化されていますが、 日本の山村集落でもちょっと前まではこういったものに近い景色があったと思います。 道というよりも空き地に近いような空間を介して建物が建っていて、 しかもその公私の領域は非常に曖昧になっています。 こういういわゆるプリミティブな集落に、 非整形的な空間が見られます。
右側のスライドは、 やはりプリミティブな集落の一つといってもいいかもしれません。 ギリシャのサントリーニ(Santorini)島にあるカルテラドス(Karterados)という街です。 サントリーニ島の北側というのは火山灰がつもった緩い斜面になっていて、 そこにかなり多くの浸食谷があります。 そんなに大きな谷ではないのですが、 その浸食谷の中腹をくりぬいて横穴住居が作られています。 その一番底の部分に通路が、 まわりの建物の余白みたいな形で作られています。