路地から見たまちづくりの作法
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自己生成的な空間が生成される街、
されない街
プリミティブな集落
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以上が、 ケーススタディ的に見たものです。
次に、 今までお話ししてきたような自己生成的な空間、 例えば非整形的な空間というのは、 どういう街にあり、 どういう街にないのかということを見ていきたいと思います。
左はチェンマイの郊外の、 標高1,000m近い山の中にあるミャオ族の集落の一つです。 ご覧のように少し観光化されていますが、 日本の山村集落でもちょっと前まではこういったものに近い景色があったと思います。 道というよりも空き地に近いような空間を介して建物が建っていて、 しかもその公私の領域は非常に曖昧になっています。 こういういわゆるプリミティブな集落に、 非整形的な空間が見られます。
右側のスライドは、 やはりプリミティブな集落の一つといってもいいかもしれません。 ギリシャのサントリーニ(Santorini)島にあるカルテラドス(Karterados)という街です。 サントリーニ島の北側というのは火山灰がつもった緩い斜面になっていて、 そこにかなり多くの浸食谷があります。 そんなに大きな谷ではないのですが、 その浸食谷の中腹をくりぬいて横穴住居が作られています。 その一番底の部分に通路が、 まわりの建物の余白みたいな形で作られています。
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スプロールエリア
スクウォッターエリア
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次のグループはスクウォッターエリア(不法占拠エリア)です。 プリミティブな集落と不法占拠エリアの違いは、 制度的に合法であるのか非合法であるのかという違いだけで、 形成の基本原理はほとんど同じですす。
左は香港のシャオキー湾という所の山際にあったスクウォッターエリアです。 複雑な空間を作り上げています。 こういったものが作られながら、 だんだん道が延びていったのだろうと思います。
右は香港のスクウォッターエリアの一つの鑚石山というところです。 これは、 カイタック空港のちょっと山側に行ったところにありました。 かなり大規模なスクウォッターエリアだったのですが、 今はほとんどないと思います。
シャオキー湾は傾斜地ですから複雑な形の道になるのは分かるのですが、 鑚石山の場合にはほとんど平坦地です。 平坦地でもやはり、 こういった街の生成過程では、 まっすぐにはできないということです。
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外挿的な要素で規定される街
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以上のように、 非整形的な街はプリミティブな集落をはじめ、 スプロールエリア、 スクウォッターエリアといった街の生成過程で見られる現象だということです。
それでは、 整形的な街は、 どういうところで見られるのか。 一つは外挿的な要素によって規定されている街があります。
左は福島県の大内宿という街道筋の街で、 集落の内部構造とは関係のない街道という外の要素によって街のあり方が決まっています。
右は、 デベロッパーが介在してできた街の例でサンフランシスコです。 もともと生活者のニーズとは関係なく道を通して街の基盤をつくり、 入居者はできあいの基盤を買うという形でここに入ってきます。 こういう場合には、 地形がどんなに複雑であろうと明解な形の街並みが作られる可能性があります。
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計画的に造られた非整形の街
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それでは、 計画的な開発が常に先ほどのスライドように明解な形になるのかというと、 必ずしもそうではありません。 先ほど江川さんもおっしゃられていましたが、 いかに非整形の空間を作るかということで、 がんばっておられる場合もあります。
左は、 東京の町田市にある埴の丘という、 かなり急な傾斜地にある一種のコーポラティブ団地です。 ここではハウジングメーカーのミサワのユニットをそのまま使っていますので、 建物自体は割合とそろってできています。
右は、 住都公団の西宮名塩ニュータウンの西山五番街で、 ここでも意図的に複雑な空間を作ろうとしています。 建築家の遠藤剛生さんの仕事です。
こういった街がこれまでの自己生成的な街と違うのは、 まず全体的な意図として複雑なものを作っていこうという意図があることです。 ここに住む人がこうありたいから屋根はこの角度になるんだとか、 この大きさになるんだということではありません。
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自然発生的にできた整形の街
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