路地から見たまちづくりの作法
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 もう一つ重要な点は、 こういった自己生成的で不整形な街は、 街自体をいくつかのモジュールで区切って、 それがいくつ集まったらどんな単位になって、 その時にはどれぐらいの幅員の道が発生して、 ということでは推し量れない、 非モジュール的な空間であるということがいえると思います。
 右は、 サントリーニのイア(Ia)という街ですが、 どこで単位というものが設定できるのかは非常に難しいと思います。 サントリーニの街は、 もともと港町で、 貿易中継港だった街です。 船主あるいは船長が尾根の一番上に大きな家を構えていて、 クルーが自分たちの船が見える斜面に居を構えたというのが基本的な形です。 空間的には、 これをあるモジュールで分解することはできません。 あるモジュールをいくつか集めると全体ができるということではありません。
 左はマレーシアのコタキナバル(Kota Kinabalu)という水上集落です。 これも、 モジュール単位ではなく、 必要に応じてだんだん成長していった町です。
 こういう自己生成的な街は、 モジュールに分解できないし、 モジュールを積み重ねても全体像が作り出せないということです。 それぞれの建物とその間の道が密接な相互関係にあって、 全体として一つの有機体として形成されているとということだろうと思います。

(c) by 上野泰

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